SXSW 2019 Interactive現地レポート——落合陽一氏プロデュースの「New Japan Islands」がオープンなど

SHARE:

本稿は、SXSW 2019(サウスバイサウスウエスト 2019)の取材の一部である。

SXSW Interactive がテキサス州オースティンで始まった。SXSW については、ここ数年連続して取り上げているので、詳細については省略するが、イベントと呼ぶには物足りない、街をあげた世界で最もクリエイティブな祭典の一つと言ってよいだろう。

SXSW Interactive のほぼ前半、ここまでで目に止まった、いくつかのハイライトをランダムに書いてみる。

The New Japan Islands(NJI)

経済産業省の主催、ソフトバンクらの協賛、メディアアーティストの落合陽一氏プロデュースで開設された「The New Japan Islands(NJI)」。その名の通り、「デジタル発酵する風景」をコンセプトに近未来の日本を、食やデジタル文化、サブカルチャーなどの分野にスポットライトを当て表現している。

NJI 開設初日となった10日には、落合氏のほか、経済産業省の宇留賀敬一氏ら関係者が神式で NJI の成功を祈った。この施設では、日本酒メーカー、印刷会社有志、福井県の永平寺などがプロダクトや宗教・文化などを紹介しているほか、夜には J-POP を扱ったディスコイベントやカラオケ大会が行われる。12日には、東北大震災犠牲者を忌って黙祷が捧げられた。

LG

モルト、ホップ、イースト菌、フレイバーなどをカートリッジ投入するだけで、好みのビールを自宅で醸造できる「LG HomeBrew」。マシンがカートリッジ表面に印刷された QR コードを読み取り、発行・熟成・加熱・冷却などを最適化されたタイミングで自動的に行ってくれる。

せっかくなのでこのマシンで醸造されたビールを味わってみたかったのだが、実際に来訪者に提供されたのはヒューガルテンだった。このほか、アイスクリームのホームメイドマシン、スワロフスキーとコラボして制作されたモバイルデバイスなどが展示されていたが、いずれもコンセプトモデルということで現時点では販売の予定は無い模様。

Todai to Texas(TTT)

例年、東大から学生チームを SXSW に派遣する「Today to Texas(TTT)」。TTT が出展する日本パビリオン周辺では、世界各国のスタートアップブースがしのぎを削っているが、特にユニークさと見た目の奇抜さで TTT のチームは群を抜いていたように思う。

JellySurf は、加速度センサーと LED を内蔵したサーフボードだ。透明なボードに LED が埋め込まれており、ユーザの動きに同期してイルミネーションが彩りを見せる。サーフィンの上達を意図して制作されており、ユーザは光の動きを狙って身体の重心を変えるなどしトレーニングができるほか、集積されたデータによって、さらに良いトレーニングプラグラムを作り出せる可能性もある。

Mantra は、マンガをスキャンするだけで翻訳版を作り出せるプラットフォーム。すでに原語のほか、複数原語で出版済のマンガを使って教師データとして用い AI に学習させている。回を重ねるごとに、より的確な翻訳結果が導き出され、吹き出しには翻訳されたセリフが入った状態で印刷される。翻訳版が出ていないマンガタイトルの翻訳、翻訳出版までに時間を要する問題の解決を狙う。

金属棒にドローンが4つ備えられた「浮遊棒」は、バーチャルリアリティ(VR)と捕まっている棒の重さに変化をつけることで、ユーザがあたかも宙を舞っているかのような体験を仮想的にもたらすことができるデバイスだ。

電通

昨年の電通の出展からは「Sushi Teleportation」を取り上げたが、それをもう一歩進めた形の未来型寿司レストランとして「Sushi Singularity」が出展されていた。オンラインで CGM 的に編集・想像された新たな寿司の誕生、ヘルスデータに基づいた栄養素の個人最適化、フード製造 3D プリンタを使った距離や場所にとらわれない寿司体験の実現が目標。2020年には Sushi Singularity の開店を目指している。

女性の乳房の形を模した IoT デバイス「Father Nursing Assistant」は、母親がいない時にも、父親が代わって、赤ちゃんの授乳や寝かしつけができるようにすることを狙ったものだ。男性が胸に装着することを想定しており、一方の胸には乳首が、もう一方の胸にはミルクタンクが備わっている。アプリと連携し授乳や入眠タイミングを検知、視覚的に赤ちゃんの状態を把握できる。

新たな移動手段

SXSW の間では、Uber、Lyft、Ride Austin といった配車アプリが多用されているのは言うまでもなく、今年から導入されて注目を集めるのは e スクーターだ。電動スクーター専業の Lime はもとより、Uber が運営する「Jump」、Lyft は昨年 Motivate を買収して誕生させた「Lyft Bikes」などを市内中心部で展開。

オースティン市内は SXSW 期間中、交通規制が敷かれていてクルマは入域できないのに加え、会場から会場(Austin Convention Center や付近のホテル)の移動は、クルマを使うには近いけど歩くには少し遠いかもしれないという、まさに「帯に短く襷に長い」状態。このラストマイルアクセスを埋めるのが電動スクーターというわけだ。これは興味深い試みである。

<関連記事>

第一弾はここまで。追って、セッションやピッチコンペティション、サイドイベントの様子を続編をお伝えする。

----------[AD]----------