市場規模21兆ドルの「オルタナティブ投資」を個人に解放するYieldStreet、チャンスはオープンイノベーションにあり

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ピックアップ:YieldStreet raises $62M to democratise alternative investments in shipping, real estate and more

ニュースサマリー:オルタナティブ投資プラットフォームを手がけるYieldStreetが6200万ドルの資金調達を実施した。ラウンドはシリーズBで、Edison Partnersがリード投資家として参加。同社は2015年創業でこれまでに1億7800万ドルの資金を調達している。また今年2月には6000億ドルの総投資額を達成したことを同社Twitterにて報告した。今回調達した資金はプラットフォームのさらなる開発や新たなユーザーの獲得に用いられる。

話題のポイント:YieldStreetはAlternative Invetment(オルタナティブ投資)と呼ばれる非公開株や不動産、鉄道などのインフラに着目したオンライン投資プラットフォームです。オルタナティブ投資は株式や債券などの伝統的投資と異なり、その性質上から今までヘッジファンドなどの機関投資家によって市場が独占されていました。同社はここに問題を抱き、誰でも代替投資の市場へ参加できるようにテクノロジーを使って民主化を進めています。

以下はPwCが公開した、オルタナティブ市場の年平均成長率やその分野の変化を表したリサーチ資料「Rediscovering Alternative Assets in Changing Time」です。2025年には21.1兆ドル規模もの市場が形成されると試算しています。これは2016年からの約10年間で2倍に市場が膨れ上がる可能性を示唆しており、同市場が年々成長を遂げる期待が集まっているといえます。

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Credit: Rediscovering Alternative Assets in Changing Time, PwC

もちろん、この成長市場のほとんどは(少なくとも現在は)既存金融機関によってマネージされています。ここで注目したいのが既存金融機関とスタートアップの連携です。

2017年のPwC発表レポート「Global Finteck Report 2017」には既存金融機関が新興フィンテック企業と提携したい、もしくはしているという調査結果が出ているのですが、これを見ると各国で市場のグロースと同時並行でフィンテック企業と何かしらの接点でパートナーシップを模索していることがわかります。

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Credit: Global Fintech Report 2017, PwC

2016年度において「フィンテック企業とパートナーシップを結んだ」金融機関の平均は全体の32%でした。2017年度は13%増の45%となり増加したものの、国ごとに大きな差異があることが分かります。また、2017年度における「数年以内にフィンテック企業とのパートナーシップを検討している」金融機関の平均は全体の82%で、ほとんど全ての既存金融機関が何らかの形でイノベーションを求めていることが伺えます。

オルタナティブ投資のような「プロ向け」の商品が一般ユーザーに解放されるためには、既存の組織だけでなく「民主化」にブーストをかけるYieldStreatのような取り組みが必要になります。

日本に関して言えば提携したいという意向はありながら、実現は3割とこれからの状況です。市場のニーズなどを考えると、こういったオープンイノベーション的な動きはまだまだこれから増えるのではないでしょうか。

 

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