運送業界向け車両売買プラットフォーム「トラッカーズ」運営、シリーズAラウンドで4.5億円を調達——ジャフコ、マネックスベンチャーズから

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Azoop の経営陣と投資家の皆さん
Image credit: Azoop

運送業界向け車両売買プラットフォーム「トラッカーズ」を運営する Azoop(アズープ)は9日、シリーズ A ラウンドで4億5,000万円を調達したと発表した。このラウンドのリードインベスターはジャフコ(東証:8595)が務め、マネックスベンチャーズが参加した。これは Azoop にとって、昨年実施したシードラウンドで、個人投資家の有安伸宏氏から2,000万円を調達したのに続くものだ。今回の調達を受けて、Azoop の累積調達金額は約4.7億円に達した。

Azoop は2017年5月、リクルート出身の朴貴頌(ぱく・きそん)氏らにより創業。朴氏の家業は愛知県で中古トラックの売買業を長年営む中堅商社で、運送会社が古いトラックを売却し、新たなトラックを購入するのを間近で見てきた。彼によれば、運送会社が収益率を上げるにはいくつかの方法が考えられるが、トラックという営業資源単位で見てみると、次の4つのポイントに集約されるのだという。

  1. 購入時のトラックの調達価格を安くする。
  2. 1台あたりの売上(稼働率や単価)を増やす。
  3. 整備・修理費を抑える
  4. 売却時のトラックの売却価格を高くする。

全体売上を増やすべくトラックの台数を増やそうにも、ドライバ不足というハードルがある昨今、運送会社の経営者はトラック1台あたりの収益率の追求に、以前に増して貪欲になってきているらしい。そう考えたとき、前出の 2. と 4. については、影響要因が多く自助努力だけで改善するには限界があるが、1. と 4. については改善の余地があるかもしれない。

トラッカーズ
Image credit: Azoop

さらに興味深いことに、運送業界では会社の規模に関わらず、慣習的に全トラック所有台数の10%程度を毎年入れ替えているらしい。大手運送会社であれば、1社あたり毎年数千台のトラックが入れ替わることになり、ここには毎年どの程度の台数が中古流通するか、ほぼ数字が読める大きな市場が存在することになる。朴氏はこの点に目をつけた。

日本には、栃木と神戸に大きなトラックのマーケットプレイスがあるが、時間と手間をかけて売りに行っても、いくらで売れるかわからない。業者に来てもらうと、中間コストがかかってしまう。

運送会社には車両管理担当者がいて、常々どのトラックを売却し、何台新しいトラックを購入するか管理している。そこで、担当者が会社にいながらにして、トラックを売却・購入できるオークションサイトを構築することにした。(朴氏)

Azoop では、運送会社からトラックを売却したい旨の連絡を受けると、トラックの情報を取得してトラッカーズに掲載。運送会社の担当者は売れるのを待つだけ。買い手にとっては相場よりも安く中古トラックを調達でき、売り手にとっては処分時の手間が省けるのがメリットだ。買い手がトラック購入後、事前に得ていた情報と齟齬があった場合、Azoop がそれを補償するサービスを提供しており、ここに大きなバリューがあるという。

Azoop のメンバー
Image credit: Azoop

2018年1月にローンチしたばかりのトラッカーズだが、既に顧客を500社以上獲得しているそうだ。全国に62,000社あるとされる運送会社の1%にも満たない数だが、そんな運送会社の9割以上は従業員30名以下の零細企業で、非常にロングテールな市場だけに伸びしろは大きい。

Azoop では調達した資金を使って、車両管理サービスの BI ツール、いわば「Salesforce のトラック版」のようなものを開発する計画だ。将来は営業資源であるトラックの収益率向上だけでなく、運送業そのものの業務効率化に向けたサービス開発にも注力していきたいと、朴氏の鼻息は荒かった。Azoop では現在、事業拡大に向け、営業職、Web エンジニア、UI/UX デザイナーを募集している

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