
Image Credit: WhatsHalal
インドネシアは、食品から化粧品、薬剤にいたる様々な消費者製品を対象とし、ハラール認証に対する新たな規制を2019年末までに導入する予定だ。
この新しい規制の下、世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアの企業は、3年間の猶予期間内に認証プロセスを経てハラールラベルを取得することが求められる。新規制に従わなかった場合は行政処分が課される。
同規制の導入が見込まれる中、自社製品にハラール対応の刻印を押そうと奔走する企業は150万社にのぼる。このビジネスチャンスをつかもうと狙っているのがシンガポールを拠点とするブロックチェーンのスタートアップ WhatsHalal だ。
e27とのインタビューの中で、ハラール認証の導入にあたり企業や行政機関が直面している2つの課題について、同社の事業開発責任者を務める Muhammad Hadi Bin Rahmad 氏が説明している。
まず第一に、農業従事者からメーカー、販売業者、消費者まで、サプライチェーン全体のすべての利害関係者をまとめる統一プラットフォームが不足している。
第二に、管理上の障害もある。Rahma 氏はこう語る。
サプライチェーン上のすべての利害関係者が、それぞれ異なるプロセスやシステムを利用しています。また手作業の部分や人的資源に頼っている部分が非常に多いです。

インドネシアと今度のハラール認証規制に関して言うと、企業や政府は独特の新たな課題に直面している。
現在ハラール認証を取得済みの企業は市場に1万7,000社あるが、同国はこの数を5年以内に100万から500万社に増やさなくてはならない。
WhatsHalal の CEO を務める Azman Ivan Tan 氏が、ハラール認証を取得するために企業が踏まなくてはならないプロセスと、WhatsHalal のプラットフォームでこのプロセスの負担をどのように軽減できるかを解説している。
まず初めに、企業はどのような認証(どの機関によるものか)を使用したいかを決定する必要がある。企業は次に、使用しているすべての原料がハラールな供給源から来ることを確認しなくてはならない。規定や保証体制も理解する必要がある。
Tan 氏は次のように説明している。
通常このような場合、企業はコンサルタントを雇います。企業は合否が決定する監査プロセスの後、認証を取得する前に加えなくてはならない変更を確認する必要性を感じるでしょう。
企業は WhatsHalal のプラットフォームを活用するにあたり、まずは活動したい市場を選択する。監査プロセスを独自に進めることができるか、あるいはコンサルタントの手を借りる必要があるか、プラットフォームが示してくれる。
もし面倒であれば、システムが担当コンサルタントを指定してくれます。そのコンサルタントで良ければ、費用を支払い、そこからはコンサルタントが対応します。コンサルタントが原料をアップロードし、それらがハラールであるかブロックチェーンを活用し確認するところから始まります。
WhatsHalal がもっとも重点的に取り組んでいる課題は、特定の食品の、ハラール・ステータスの不確実性だ。
これまでは「ハラールではないと示されていない限りすべてハラールである」というふうに考える傾向がありましたが、今日製造されているもののすべてが原料について完全に公開しているわけではないので、顧客は何がハラールで何がハラールでないかをはっきりと理解していないということに気づきました。供給源を確認することができないのです。

Tan 氏はこのように強調した。
ハラール認証プロセスに加え、WhatsHalal はオンデマンドのフードデリバリーサービスなど、他のサービスも提供している。
同スタートアップは、2018年の HalalOnClick 買収を通じてこのサービスを拡大している。
将来的には、入手した豊富なデータや製品を供給源まで確認するトラッキング能力を活かし、エンドカスタマー向けのハラールスキャナーの導入も目指している。
Rahmad 氏は次のように説明した。
ハラール認証プラットフォームは、当社が取り組んでいるテクノロジーの第一段階に過ぎません。テクノロジーの第二段階はトレーサビリティです。ブロックチェーンを活用する他の企業と当社が異なるのはこの点です。IoT や RFID といったデバイスに注目しています。これらをサプライチェーンに組み込むつもりです。
日本の和牛の価値があれほど高いのは、認定証に詳細が記載されているからです。
現在 WhatsHalal の運営チームは21名で構成されており、シンガポール、クアラルンプール、ジョクジャカルタにオフィスがある。
インドネシアでは、インドネシア政府とジュネーヴに拠点を置く大手認証企業 SGS のジョイントベンチャーである Sucofindo とすでにパートナーシップを結んでいる。
現在は内部資金で運営されている同社だが、Tan 氏は同社への投資に関心を寄せている外部関係者も複数あることを示唆している。
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