中国の国営メディア、テック業界の長時間労働慣習「996工作制」が違法だと強く非難

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新華社通信の発表
Image credit: Xinhua News Agency

中国でトップの政府系メディアが、同国テック産業界の12時間労働習慣に関する議論で、起業家に向けて厳しく「規則に従え」「混乱を避けよ」と声を挙げた。

16日に国有の新華社通信を通じてリリースされた論評によると、中国の労働法は労働時間が1日に8時間、平均して週に44時間を超えるべきではないと規定している。特別な理由があれば、労働者は最大で1日に3時間、月に36時間の時間外労働をすることができる。「996工作制(勤務スケジュール)は明らかに違法である」と新華社は述べている。

中国トップのテック企業で1日に12時間(午前9時~午後9時)かつ週に6日の労働時間を指す略語としてよく知られている「996工作制」は、Alibaba(阿里巴巴)の設立者 Jack Ma(馬雲)氏の時間外労働文化は「大いなる恵み」であるとする意見表明を受けて、週末にかけて広く国民的議論を巻き起こした。Alibaba の WeChat(微博)アカウントに投稿された意見(編注:削除済?)で、億万長者の起業家である同氏は12時間の平日労働を擁護し、「他の人よりも多くの時間や労力を割かずに、どうやって大きな成功を成し遂げることができるのでしょうか?」と問いかけた。

Ma 氏は14日の WeChat への投稿で再びこの考えを支持し(編注:削除済?)、996や997にこだわる人たちは「経済的な利益を超えた情熱を見つけた」からであるとしている。同氏は「非人間的」および「不健康」な慣習を擁護するつもりはないと付け加えたが、一方で同国における1960年代のミサイル爆弾や衛星の開発を例として挙げ、人々が「未来のために戦う」よう説いた。

別の国営メディアである半月談は、すぐさま Ma 氏の投稿を直接的に指摘して批判を行った。

996工作制の擁護派は強力なチームを結成しており、その中には私たちの尊敬を集める有名な起業家もいる…しかし、996工作制と努力を同一視するのは、ロジスティクスの面からも、最初から筋道が立っていない。

中国共産党中央宣伝部に率いられた国家の代弁者は、8時間労働に怠け者とレッテルを張るために中国の軍事的な発展を利用する者を厳しく批判し、雇用者に対しては「労働者の実際の利益がある8時間労働の権利を守る」ように強く主張した。

これまでのところ、Jack Ma氏 や JD(京東)設立者の Richard Liu(劉強東)氏、検索エンジン企業 Sogou(捜狗)の設立者 Wang Xiaochuan(王小川)氏を含む中国テック起業家は、中国のテック業界で一般的となっている平日12時間労働の支持を表明している。新華社や半月談の他にも、以前にも擁護派は人民日報から厳しい批判を受けている。同紙は14日に掲載した論評で、義務的に強制された996工作制は「ビジネス経営陣の傲慢を反映しているだけではなく、不公平で非実用的だ」と述べている。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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