中国のEコマース大手 JD(京東)、反汚職の取り組みで刑務所ツアーに社員を派遣

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北京市第一看守所を訪問した JD(京東)の従業員
Image credit: JD(京東)

中国の E コマース大手 JD(京東)は3月20日、北京の刑務所に社員を派遣した。反汚職の WeChat(微妙)アカウントでの投稿で、「自由は人生最大の幸せ(自由是人生最偉大的財富)」という明快な見出しとともに発表した。

投稿によると、JD から派遣された広報担当の一団が向かったのは北京市第一看守所。そこで汚職の代償を実地で目の当たりにした。

中国では、反汚職の手段として刑務所ツアーが一般的に実施されているものの、対象は政府や金融機関であることが多く、テック企業はほとんどなかった。ただし、JD による型破りな反汚職の取り組みはこれが初めてではない。中国のマイクロブログプラットフォーム Weibo(微博)に出回った流出メール情報によると、JD 社員は配偶者のほか、近親者、3世代以内の血縁者とその配偶者、同級生についての詳しい情報を報告するよう求められた。中国メディアが伝えるところでは、この措置は職場での昇進に際し透明性を確保するためと説明されているが、社内汚職を抑制するのが目的だった。

しかし、JD の CEO である Richard Liu(劉強東)氏が昨年、婦女暴行容疑で刑務所に収監されそうになったこともあり、同社の刑務所ツアーは根本的に皮肉めいたことになっている。同 CEO の容疑は、後に証拠不十分で取り下げられた。

TechNode(動点科技)からの問い合わせに対し、同社は回答を控えた。

中国系テック最大手の一角を占める JD には、社内での不正行為が相当数見つかった。8月には、同社の小売部門から金融部門に至る複数の部署で16件もの不正があった。

Alibaba(阿里巴巴)との競争が激化し、成長が鈍化する中で、JD は社内活性化を目指す取り組みを行っている。社内での競争を推進するため、業績の上がらない幹部の1割を年末までに削減する方針を発表した。この2週間で、CTO の Zhang Chen(張晨)氏と法務部門を率いるLong Yu(隆雨)氏がすでに退社している

他の中国系テック企業も、汚職削減に向けて社内調査を加速させている。配車大手の Didi(滴滴出行)では昨年、コンプライアンス担当が60件以上の社内不正事例を見出し、80人以上を解雇した。ドローンメーカーの DJI(大疆)でも、総額1,000億人民元(1兆6,700万円)にも及ぶ損失を会社に与える可能性があるとされた事案を調査するために社員45人を管理下に置いた。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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