ストリート・ファッション版メルカリ「Bump」、200万人の“ツウ”な若者を魅了するその秘訣とは

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ピックアップ: Streetwear marketplace Bump raises $7.5M

ニュースサマリー:4月11日、ストリートファッション商材を扱うP2Pマーケットプレイス「Bump」が750万ドルの資金調達を発表した。

BumpはNikeやadidasに代表される若者向けブランドが販売するスニーカーやジャケットを手軽に中古売買できるプラットフォーム。現在の登録ユーザー数は約200万人。1年前のユーザー数20万から10倍の成長を見せている。

基本機能はほぼメルカリと似ている。ユーザーはアプリ上で売られている商品にいいねを付けたり、自分の趣味に合った商品を掲載するセラー(売り手)をフォローできる。商品に対してのコメントはプライベートメッセージを介して行われる。

TechCrunchの記事によると収益源は売り手から6%を徴収する取引手数料。ユーザーは2.9%の手数料がかかるPaypal経由で決済をしなければならないため、合計8.9%の手数料が売値から差し引かれる。

ターゲットユーザーは10代を中心とした「ジェネレーションZ世代」。同世代が手軽にファッショングッズを売買できる特化型マーケットプレイスの確立を狙う。同社は著名アクセレータ「Y Combinator」2018年冬のプログラムを卒業している。

話題のポイント: Bumpのポイントとして「情報通と繋がる」ソーシャル要素が挙げられます。

マーケットプレイス機能だけに着目するとBumpは既存のEコマースアプリと変わらない印象を受けます。筆者は昨年に何度か同アプリを触っていましたが、米国では中古品売買プラットフォーム「Letgo」や「メルカリ」が急成長している背景もあり競合差別化が図れているとはあまり感じませんでした。

しかしストリートブランドという特異な商材に注目している点が大きな優勢性になっていることに気付かされます。

たとえば週末に日本の原宿にあるセレクトショップ前に新商品を買いに走る長蛇の列を見かけます。定期的に特定ブランドの商品を買い付けるバイヤーが数多くいることが分かります。欧米でも同様の現象が発生していると想像できるでしょう。

Bumpはこうした各ブランドの新作発売のタイミングなどの商品情報交換や、海外でしか買い付けられない商品の販売を個別に頼むことができるネットワーキングアプリとなっているのです。アプリ用途を「ブランド通が集まるマーケットプレイス」という立ち位置にはっきりと区別することで差別化を図っているわけです。

ブランド商品の買い付けというカテゴリーでは競合が存在します。越境Eコマース大手サービス「BUYMA」は買い付けできる人とをマッチングするプラットフォームとして大きく成長を遂げました。しかしあらゆるカテゴリーに手を広げているため独自のコミュニティ形成にまでは至っていません。

一方、Bumpに関してはストリートブランドにカテゴリーを絞ることで熱量の高いコミュニティ形成に成功しています。コミュニティドリブンであるからこそEコマースでは珍しいグループチャット機能を実装し、新作情報がスムーズに交換できる環境作りを行っているのです。

現に原宿や渋谷エリアにいる若者が潜在ユーザーに映っていることから、日本でもBump同様のコンセプトサービスを立ち上げれば大きく成長する可能性を感じます。また特化型アパレルメディア『古着男子』『古着女子』を運営するyutoriに代表される企業が、マーケットプレイスを軸にしたSNSアプリを立ち上げると面白い展開を見せそうです。

分野特化型のラインナップを揃えることで長く愛されるコミュニティを形成できそうな気がしますし、「Zozo」のような大手Eコマースとの連携も考えられそうです。

Thumnail Credit: Charles Thompson

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