急成長するインドのデジタルレンディング市場、金融包摂「Kinara Capital」が1400万ドルを調達

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ピックアップ:Digital Lender Kinara Capital Raises $14 Mn From Impact Investors

ニュースサマリー:バンガロールに本拠を置くデジタル・レンディング企業の「Kinara Capital」は10日、Impact CapitalGaja Capitalなど複数ファンドから1400万ドルを調達した。Kinara Capitalは、元アクセンチュアのHardika Shah氏によって2011年に設立された企業だ。

同社のサービス内容はオンライン・ローンで、インドの零細事業者に対し、物的担保なしで28003600ドル範囲のオンライン・ローンを提供している。同サービスは、レンディングのプロセスを全てオンライン化することで、与信に関する手続きコスト(事務処理やコミュニケーション)を削減し、顧客に最適かつ迅速なローンを提供する。

ローン申請後57日以内に支払われ、期限付きかつ利率は平均で2628%に設定されている。比較的金利が高いのは、貸し倒れリスクの高い顧客を阻むためだ。Kinaraの顧客は普通の銀行が融資を控えるような零細事業者が中心。

話題のポイント:スモールビジネスへの貸付は、成長するインド経済において非常に重要なパーツです。これまで銀行が与信を与えられなかった零細事業者は、Kinaraのようなサービスによって成長の機会を手にすることができます。

DCGのレポートによれば、インドのデジタルレンディングは今後も急速に成長していくと予測されており、2018年に23%であったレンディング市場に占めるデジタル・レンディングの割合は、2023年には48%まで成長するとされています。

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DCGレポート

Inc42の記事によれば、これまでKinaraプラットホームは33000件を超えるローンを実行し、計116億インドルピー(約180億円)以上の支払い実績があります。

Kinara Capitalは今回調達した資金をサービスのユーザーエクスペリエンスの向上と、サービス提供範囲の拡大の2つに投資していくとしています。ユーザーエクスペリエンスの向上とは、具体的には自動引き落とし機能の追加や、リスク評価・与信プロセスの迅速化です。また、インドの南西部をメインに成長してきたKinaraですが、北部・東部には未開拓の市場があることが分かります。

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Kinaraの展開地域

銀行をはじめとした金融インフラが未熟でかつ成長を求める零細業者が増加するインドでは、今後もKinaraのようなテクノロジーを活用したファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)のビジネスが進展していくでしょう。

 

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