狙うは4700万人の歌声ーーミラティブがスマホカラオケ「エモカラ」公開、作ったのは現役東大生

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Mirrativのカラオケ機能「エモカラ」

ニュースサマリ:スマホゲームの実況プラットフォーム「Mirrativ」を運営するミラティブは5月22日、Mirrativ内でカラオケが楽しめる新機能「エモカラ」を公開した。

アバターサービス「エモモ」を使ってカラオケ配信ができるもので、音源はJOYSOUNDが提供する。利用ユーザーはエモモを立ち上げて好きな楽曲を選び、カラオケを配信することができる。視聴者は通常配信と同様にギフトを贈ることができる。

元々、Mirrativ内で配信者が歌を歌う文化があり、約2カ月のテストを経て一般にも公開することにした。本件について、サービスのプロジェクトマネージャー(PM)を務めた河原崎ひろむ氏とミラティブ代表取締役、赤川準一氏にビジネス面など立ち上げの経緯を聞いた。なお河原崎氏は現役の東大大学生で、フリーランスのPM、エンジニア・デザイナーとして、Progate、GREE、TANP等のプロジェクト 携わった人物(太字の質問は全て筆者)。

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エモカラで歌う赤川氏(向かって左)と河原崎氏(右)/歌詞クレジット:「不協和音」作詞:秋元康「Lemon」作詞:米津玄師

ゲーム実況から始まったMirrativだが、雑談が広がり、アバターのエモモ、そして今回、カラオケが追加された。多様化するサードプレイスでのコミュニケーション活動について、状況を知りたい

赤川:エモモ以降のMirrativのキーテーマが、サードプレイスでの「人の可能性の解放」「魂の解放」です。たとえば世の中に、歌はむちゃくちゃ上手いけど自分の容姿には自信がない、という人は本当にたくさんいると思っています。そんな中で、今日は歌いたい気分だけどわざわざカラオケ行こうと声をかけるのもめんどくさい、そういう友達がいない、といった大きなニーズも付随していると見ています。

どういった経緯でカラオケに着目した

河原崎:Mirrativは、スマホ画面を配信するサービスなので配信中のユーザーが実際にアプリを触っているところを見れるのが特長です。カラオケも、実際にユーザーがコラボ通話機能で電話をつないでデュエットをしていたり、弾き語りの配信が長年行われていたりといった、ユーザーの利用シーンの観察からインサイトを得て開発を始めています。

サードプレイスの文化は保たれるのか

赤川:ゲーム実況=同じゲームが好き、という理由で誰かと仲良くなったあとは、その友達といっしょにいることにプライオリティが移るので、Mirrativでいちばん多い配信は今は雑談配信になっています。同様に、ゲームきっかけで仲良くなった友達とカラオケで盛り上がったり、カラオケきっかけで仲良くなった人とゲームのマルチプレイをしたり、うまく融合していくと見ています。

テスト期間は

河原崎:2月から1か月半ほどでプロトタイプを作ったあと、2か月間ほどテストを回しました。そこでうまくなじんでいる手ごたえを得て、全展開を決めた流れです。

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リアル空間での赤川氏(写真左)と河原崎氏(写真右)

リアルワールドだと対人関係とか余計なものが付いてくるので、私もカラオケは随分といかなくなった

赤川:カラオケは、日本発のグローバル文化ですが、日常的なコミュニケーションの中で自己解放を作ってきた歴史があるなと。昼はまじめなサラリーマンがいきなり絶唱したり、普段おとなしいやつがやたら上手かったりして普段と違う姿が見られるソーシャルエンタメでもありますよね。

確かに。多数そういう方と触れ合った記憶がある

河原崎:歌の上手下手を越えて、リクエストをしたりデュエットしたりといったコミュニケーションのツールとしても広がりがあって、その点もエンタメとしては「ゲームを一緒に遊ぶ」に近いところがあると感じています。

リアル世界の「自分」から解放されて歌いまくれる、けど一人じゃない

赤川:MARSHUMELLOしかり、MAN WITH A MISSIONしかり、あえて自分の歴史・ナラティブと切り離して表現をすることで、表現者としての才能を発揮するようなケースはアバター世界観以前からありますよね。まさにVTuberが夏頃から歌中心に盛り上がってそういった才能を解き放っていった側面があると思うのですが、誰もがアバターを持つエモモの世界観では、より広く人の可能性の解放の機会が提供できると思っています。

仮想空間でのカラオケビジネスの可能性を聞きたい。こちらの白書では国内カラオケ人口は推計で4700万人規模、また国産文化としてオフラインカラオケは世界中に広まった。仮想空間でこのビジネスはどのように変化するのか

赤川:カラオケ x スマホの市場は既に顕在化しており、例えば年末に2兆円超えの企業評価で上場した、中国のTencent Musicはカラオケ x ギフティングが売上の中心で、年間売上が3000億円級です。17 LiveやSHOWROOMといったセルフィー型のライブ配信アプリでも、カラオケは最も使われている機能の1つになっています。

リアルカラオケはやや頭打ちのようだが、こちらは伸びてる

赤川:リアルの場でも、友達誘うのは面倒だったり恥ずかしかったりということで、ヒトカラの市場は年々伸びていますよね。バーチャル的な文脈でも、匿名アカウント・匿名性付随で成功を収めているアプリとして、グローバルでもSmule(Sing!)、日本でもnana musicといったサービスが伸びています。「顔出し配信」のハードルと、歌文脈での自己解放ニーズを考えると、仮想空間での配信 x カラオケのポテンシャルは大きいと思っています。

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