編集部注:本稿は企業のカスタマーサクセスを支援する「HiCustomer」を運営する鈴木大貴氏による連載。プロダクトを通じて顧客の課題解決に取り組む企業の実態に迫ります
前回からの続き。鈴木さんと一緒にカスタマーサクセスの現場をお伺いするインタビュー連載、2回目のゲストはTVCMの効果測定サービス「マゼラン」が絶好調のサイカ代表取締役、平尾喜昭さんです(太字の質問は全て鈴木大貴さん。回答は平尾さん/記事編集:平野武士)。
マゼランについて:統計分析手法を基に開発されたTVCM効果測定ツール。TVCMなどのオフライン広告、オンライン広告や外部要因を統合して分析・評価できる。最適な予算配分のシミュレーションが可能で、リリースから2年で80社以上の企業に導入されている
サイカさんはオフライン広告の可視化、計測という市場にチャレンジされていますね
平尾:日本の広告費6.5兆円のうち、分析が進化しているオンライン広告費は1.7兆円です。つまり、約5兆円のオフライン広告費が未だ科学されていない状況にあります。このレベルでの改善規模を狙えるプロダクトは世界的にも希ではないでしょうか。
この連載ではカスタマーサクセス(以下、CS)の施策についてお聞きしています。新しい視点でのサービスなだけにその重要性が問われそうです。どのような体制で取り組まれていますか
平尾:マゼランがエンタープライズ向けのプロダクトということもあり、ハイタッチなCS体制(※1対1の顧客対応)を組んでおります。具体的には、1社に対してアカウントマネジメント(AM)というお客様向き合いのコンサルタントと、アナリスト(AN)という分析官の2名が対応します。
AMは事業会社のマーケッターや広告代理店の出身者、ANはアカデミックな理系バックグラウンドを持ったメンバーが多いです。
チームのメインミッションは何に設定されています
平尾:お客様にマゼランの提供する価値をご理解いただくこと、また、マゼランによる分析結果を日々のマーケティング活動に活かしお客様の事業へ貢献をすることで、永続的なマーケティングパートナーとなることをメインミッションとしています。
チームで追いかけているKPIは
平尾:「リテンションレート」「プロセス達成率」「経営陣報告率」が主なKPIです。導入初期はハンズオン体制を取っており、マゼランの価値を最短でご理解いただくための基本プロセスがあります。こちらが遅滞なく実行されているかを確認しています。
経営陣報告率は特徴的ですね
平尾:我々のツールは予算全体を動かす、つまりお客様企業の経営にダイレクトに影響する部分を担っています。ですので、分析結果が定期的にお客様企業の経営陣へ報告され理解がなされているかどうかをKPIの1つとしています。
CSチームの体制作りはいつ頃から取り組まれたのですか
平尾:CSは、元々は2016年12月に立ち上がった組織でした。マゼランは2016年9月に正式リリースしたサービスですので、誕生当初からCSを重要視し、CSのスペシャリストをマネージャーに迎えてチームを編成しています。
苦労した箇所は
平尾:「エンタープライズ型CSの確立」に尽きますね。
日本、そして海外SaaSの成功事例を地道に踏襲していったマゼランCSでしたが、特に序盤はその取り組みが実を結ばず、まさに悪戦苦闘という感じでした。
そんな折、「正攻法がうまく機能しない理由は、我々が業界でも珍しいレベル感での高単価SaaSだからではないのか」という仮説を立て、純粋にクライアントから生の声を聴き、一から独自のCSプロセスと体制を組み直したんです。
結果が出た
平尾:現状では、高単価のツールであるにもかかわらずアップセルも相次ぎ、型が確立されてきている状況になりました。1:CSの正攻法を実践してみる、2:正攻法との違いに気づく、3:自分たちで仮説を築く、という3プロセスが成功要因だったと感じています。
CSチームの特徴について教えてください
平尾:ハイタッチ体制(※1対1の顧客対応)です。1社1社のお客様と密なコミュニケーションをとっているためレスポンスが非常に早くなります。
また会社としてもカスタマーサクセスを「HUB組織」としているため、お客様のプロダクトに対する要望がデイリーで開発陣へフィードバックされ、日々のプロダクト改善サイクルに活かされていることが特徴です。
日々のフィードバックが開発に反映されるのは理想的な体制ですね
平尾:冒頭で申し上げた通り、年間で約5兆円が投資されているオフライン広告が未だ科学されていない状況です。この規模でプロジェクトに携われるCSは、世界を見渡しても非常に希少です。サイカのCSだからこそできる体験もありますので、ご興味ある方はぜひご一緒できれば。
ありがとうございました!
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