ファッションデザイナーをビジネス面でサポートするIMCFが2.1億円調達ーー次世代型グローバルブランドコングロマリット企業目指す

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ニュースサマリー:ブランドインキュベーション事業を展開するIMCFは5月28日、YJキャピタル、MTG Ventures、SMBCベンチャーキャピタル、KVPを引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。調達金額は2億1000万円。同社はファッションデザイナー向けに資金面やマーケティング・プロモーション面での支援をする。

デザイナーのクリエーション以外全ての業務を担うことで、デザイナーが自身の作品に注力できる環境を作り出そうというコンセプト。また、デザイナーと共に挑戦することとなるため、ビジネスパートナーとして一心同体に経営を進めていく側面もある。

調達した資金で優秀なファッションデザイナーのインキュベーションを進める。加えて、ファッション以外の領域のインキュベーションを新規事業として展開させていくとしている。

本誌ではインターネットを通じた次世代型グローバルブランドコングロマリット企業を目指す、IMCF代表取締役の吉武正道氏に話を聞いた。

ブランドインキュベーション事業とは具体的にどんなモデルでしょうか

吉武:一言でいえば、デザイナーのビジネスパートナーとなり世界へ挑戦するサポートををする事業です。優秀なデザイナー発掘から、クリエーション以外における資金的援助やマーケティング施策の実行を弊社が包括的に手助けしていきます。デザイナーからすれば信頼できるパートナーがいることで、安心して自分がしたいクリエーションへと突き進めるのでは、と思いこの事業を始めました。

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デザイナーに対するインキュベーション事業、という構想は比較的新しいアイデアだと感じます。この分野に着目したきっかけは

吉武:グローバルに通用するブランド(コンテンツ)を創りたいと考えた時、「ファッションデザイナーズブランド」の分野に大きな可能性を感じました。ファッションというと欧州中心の文化のように感じますが、コムデギャルソンヨウジヤマモトイッセイミヤケが世界中で愛されているように、日本のデザイナーズブランドは世界で通用することは証明済みなんですよね。

なるほど。だからこそ、ブランドのグローバル展開をサポートすることに必要性を感じたと

吉武:そうですね。日本発デザイナーも海外に劣らず世界を目指せるクリエーションを生み出していると思うんです。一方で、ブランドを拡大していくとなるとビジネス的なプランニングが求められるのも事実です。

これは、一般的なスタートアップがグローバル展開を考える際の戦略と似ているかもしれません。その面を踏まえ、資本、マーケティングにおけるサポートを我々が提供することで、新しい国産デザイナーズブランドの創出ができるのではないかと考えました。今現状、その観点が欠落しているのがあまり日本から世界的ブランドが生まれてこない理由の一つと思っています。

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マーケティング面に加えて、資金面での援助によってデザイナー自身の選択肢は大きく広がる

吉武:世界的デザイナーはインスピレーションを受けるために、旅に出かけたり色々な国を巡りながらクリエーション活動をしています。例えばIMCFでも、既にロンドン在住のデザイナーを抱えています。このように「拠点を持たないデザイナー」という概念をインキュベーションを通して作り出すことが出来ればと考えています。デザイナーはクリエイティブな環境で生活すべき、という考えの元、事業を通して彼らの生き方における選択肢から変革していければと。

投資&マーケティングサポートをするという観点ではVC(ベンチャーキャピタル)的感覚と近い点もあるように思えます。どのような指標を元にビジネスパートナーを選ぶのでしょうか

吉武:こんな系統のブランドを現段階で購入しているユーザー層が、新規デザイナーブランドにスイッチする根拠があれば投資実行したいと考えています。新しいものが世にあふれているこの時代に、私たちが投資しただけで簡単に新たな概念が生まれるとは全く思っていません。

たった一つ確実なのは、今いる消費者は衣服をどこかのブランドで消費しているということ。それらを私たちのブランドに、スイッチできるのか?という観点がキーとなります。

投資する際のタイムラインや具体的なマーケティング戦略はどのようなものでしょうか

吉武:出資の上限は2000万円を引いています。300万円の収益が月間で上がれば黒字化が想定される設計です。また、お話したように私たちのライバルブランドは基本的にデジタル武装していない層なんですよね。百貨店とかセレクトショップにおける販売が主体で、二次流通のためデータを特に所持しているわけではない。このギャップを、私たちは時代に即した手法で攻めていきます。

IMCFインキュベーション先デザイナーブランドによる展示会

「次世代型のグローバルブランドコングロマリット企業」を目指すとしていますが、その定義やビジョンはどのようなものですか

吉武:20世紀のグローバルブランドコングロマリットの代表はLVMHやケリング、リシュモンでした。彼らはPEファンドのようにM&Aによって巨大化し、オフライン市場を中心としたビジネスモデルの展開をしてきました。

IMCFは、オンライン市場を中心としたブランドビジネスを複数展開し、ポートフォリオ化することで、次世代型の(=インターネット業界の)グローバルブランドコングロマリット企業を目指していきたいと思っています。

ポートフォリオを通して、互いのブランド(デザイナー)のシナジーはどのように考えていますか

吉武:互いのシナジーはそれほど期待しているわけではありません。複数ブランドをオンラインを中心に展開することで、様々なデータが集まり、それぞれのブランドの状態を把握し、投資判断することができる。ブランドビジネスは常に右肩上がりというのは難しいのが事実。より費用対効果の高いブランドへ投資を行うことで、グループ全体として常に成長をしていきたいですね。

最後に。デザイナー以外にも範囲を広げ、様々な分野のマーケティング・ブランディングサポートを実施していく計画はありますか

吉武:今後はファッション以外の領域も積極的に展開していきたいと思っています。何か、情熱を持ってモノづくりをするクリエイターがいて、それをビジネス面でサポートしていくことがIMCFの存在意義だと考えています。

ありがとうございました!

 

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