ピックアップ:Our Series E and the future of Carta
ニュースサマリー:株式管理のSaaSを運営するCartaは6日、シリーズEにて3億ドルの資金調達を実施した。評価額は17億ドル。Andreessen Horoqitzをリード投資家に、Lightspeed Venture Partners、Goldman Sachs Principal Strategic Investmentsも参加した。
Cartaは2012年創業。スタートアップなどの非上場企業における、株式やストックオプションなどに透明性を持たせ、管理可能なデジタルプラットフォームを提供。また、キャップテーブルなど資本構成やバリュエーションの管理についても取り扱える。近年は、上場企業向けにも同様のサービスを提供しはじめているなどしている。
話題のポイント:Cartaは以前ご紹介した「次のユニコーン企業50社リスト」にもノミネートされており、高く将来性が期待されていました。同社のブログで「なぜCartaのサービスを作ろうと思ったか」に関して以下の様な経緯を説明しています。
「Why can I buy Google stock on my phone, but investing in a private company costs $20K in legal fees, takes 45 days to close, and ends with a mailed paper stock certificate?(Googleの株を買おうと思えば、スマホでこんな簡単に買えるのに、なぜ非公開株式になると弁護士費用に2万ドル、締結まで45日もかかり、この時代に紙の”株式”が送られてくるのだろうか)」
そこで同社は、特にスタートアップの株式に対して外部の人間が関わりやすくなるように、という想いで同プロダクトを開発。また、同時に企業内部に向けたストックオプション(SO)管理やキャップテーブル(株式比率を記したもの)を視覚的に管理可能なプラットフォームを提供しています。
例えば米国においてSO行使時、企業側はIRSに対しForm 3921と呼ばれる資料を都度提出しなければなりません。Cartaでは、上図のように簡易的な操作のみで資料作成が可能で、申請忘れなどが起きにくく無駄を省くことが可能です。
加えて、同一プラットフォーム上でメンバーのSO管理が可能なため、透明性の面においても有効的と言えるでしょう。
そういったSO管理という面では、以前お話したソリウムキャピタルと類似している観点があるかもしれません。同社は、従業員に対するSOによるインセンティブ設計を、クラウドにて一括管理できるサービスとなっています。ただ、Cartaは同一プラットフォーム上に外部の投資家も繋がっているという点ではまた一歩違ったSaaSとしての存在感を示しています。
これは一般投資家のUI。グラフィカルに投資先や株式保有率が明示されています。
通常、非公開株式の場合リアルタイムでの管理が難しい性質を持ち合わせています。また、バックオフィス作業を進める際、紙の株券を通した諸手続きが求められたりします。同プラットフォームでは、それらを全てリアルタイムにて、シームレスに完結することができます。
彼らのプレゼンスがあがるごとに、非公開企業の資本民主化が進んでいくのだと思います。逆に、彼らのバリュエーションの伸び率を考えれば、社会的にも需要が増して来ているともみれますね。
日本でも市場の大きさを考慮した上でも、このような思想は広まるべきだと思います。法的手続き等の観点では、完全ドメスティックなプロダクトとして始めれば優位性も引き立つと思います。日本版Carta、その需要は果たして。
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