SoftBank Vision Fundが8億ドル出資した「Greensill」とはーーサプライチェーンの信用度を活用した融資の仕組みを紐解く

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ピックアップ:SoftBank Vision Invests $800 Million in U.K. Fintech Greensill

ニュースサマリー:ロンドンに拠点をおくサプライチェーン・ファイナンス企業「Greensill Capital」は5月13日、SoftBank Vision Fundから8億ドルを調達した。Bloombergの報道では投資後の評価額は35億ドルになるという。

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Greensillウェブサイトより

Greensillは、2011年に元モルガン・スタンレーで銀行員のLex Greensill氏が創業したスタートアップ。サービス開始から今日まで、60カ国以上の800万人を越える顧客に対し、累計600億ドルの資金を提供してきた実績をもつ。今回の調達で獲得した資金は、主にアジア市場でのサービス展開に投資される。具体的には、インドや中国、ブラジルといった新興国市場だ。

Australian Financial ReviewのコメントでLex氏は次のように述べている

私たちは金融市場をテクノロジーを用いて、資金調達の機会を民主化する。クライアントにとって可能な限り低いコストで資金を調達できるようにし、かつサプライヤーである投資家に新しいアセットクラスを提供することを使命としています。

話題のポイント:Greensillが行なっているのは、サプライチェーン上の企業と投資家を繋げるプラットホーム・ビジネスです。借り手企業がGreensillで投資家から融資を受ける際は、参加しているサプライチェーン全体の信用力が高いほど有利になります。

例えば材料が確実に仕入れることができたり、自社の製品が必ず取引相手に売れるということは、高い確率で融資を返済できるということを意味するので、利率も低く済みます。

さらにそのようなケースでは、投資家はファクタリングを通してすぐに資金を回収することができますし、その投資はすぐに別のサプライチェーンに投下され、別の企業の運転資金となります。

つまり、信用力の高い企業や信用力の高い企業が参加するサプライチェーンにはすぐに資金が集まり、かつより低い利率で融資ができるため、参加主体全員がより多くの利益を得ることができるということです。逆に、信用力の低い企業や、それらの企業が参加するサプライチェーンには資金は集まらず、利率も高く設定されてしまうため、利益を出すことが難しくなっていきます。

シンプルですが、上記の設計は借り手事業者による資金の正しい運用とビジネスの高利潤化を促進するため、多くの事業者と投資家の心を掴みました。

今後、新規参入市場に対してこのスキームを適応し、さらに多くの事業者・投資家を巻き込むことができれば、Greensillはさらに大きなプラットホームとして、世界中の製造・貿易を支える企業になっていくでしょう。

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