5.4億円を調達「WealthPark」が取り組むオルタナティブ資産投資とはーー管理プラットフォームのグローバル展開を加速

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WealthPark

ニュースサマリーWealthParkは不動産管理会社向けに、資産運用・管理プラットフォームアプリケーションを提供するスタートアップ。同社は4月2日にシリーズAラウンドにて5億4000万円の資金調達を完了している。増資を引き受けたのはSBIインベストメント、日本郵政キャピタル、みずほキャピタルの3社。

話題のポイント:WealthParkが提供するのは不動産など非流動資産の「見える化」です。同社CEOで代表取締役社長の川田隆太氏は「不動産アセットのデジタライズ化は、目指す世界観の通り道」とお話されていました。企業としてオルタナティブアセットという枠組みに着目し、その一つが不動産なのだそうです。

同氏は見ている世界観はNY発スタートアップの「YieldStreet」に近いものがあります。ここがまさにオルタナティブ投資に注目しその民主化を目指している企業です。

ということで本稿では川田氏に、なぜオルタナティブアセットの中でも不動産テックを通して非流動資産の価値観を変えようと取り組んでいるのか、また、今後目指していく企業ビジョンについてお話を伺ってきました。

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手掛けられているサービスは不動産管理会社向けの「資産運用プラットフォーム」ということですが、具体的にどのようなものですか

川田:不動産管理会社向けに、非流動資産アセットの資産運用・管理プラットフォームを提供しているサービスになります。「不動産」という領域は、一般的な印象通りデジタル化が進んでいない領域なんです。背景には、その個別性、地域性、複雑性から標準化、デジタル化、効率化がしにくい分野であることが挙げられます。

例えば、管理会社と投資家の間のコミュニケーションツールが、ファックスなんてこともごく普通なんです。その非効率性を、業界のデジタライズ化を通しアップデートしていくことを目指しています。

具体的に「効率化」とはどういった変化が起きることを想定されていますか

川田:まず第一に、私たちのプロダクトを通して不動産管理会社さんが「ウェルスマネージャー」として活動して頂くことを想定しています。お伝えしたように、管理会社さんと投資家さんのコミュニケーション方法は未だアナログベースです。

そのため、効率・時間の両側面において、機会損失が生まれてしまっていると感じています。不動産というアセットは、通常数億から数十億もの資産運用です。一般的な投資と変わらず、ある程度の「フレックス」さが不動産領域にも必要だと思っています。

不動産管理会社さんの反応はいかがでしょうか

川田:そうですね。現状、国内不動産管理会社を中心に数十社にサービス提供をさせていただいています。また、米国・英国・中国においてもサービス展開を開始しており、デジタル化への市場需要を感じています。

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グローバル展開も既に開始されているんですね。具体的に、市場規模はどの程度を想定されているのでしょうか

川田:まず、居住用投資不動産のみで日米英で6,200万室に達する勢いとされています。加えて、アジア物件・小口商業物件等を加えると件数はなんと1億室を超えるんです。そのため、市場規模は15-20兆ドル(1,500-2,000兆円)と想定されています。このグローバルな範囲で、非流動資産の運用需要を取り込んでいくことを目指しています。ただ、実は不動産領域への取り組みは、目指していく世界観への「通り道」なんです。

不動産領域のデジタライズ化は数ある中の通り道、と。企業として、どんな世界観を目指しているんでしょうか

川田:WealthParkとしては、「オルタナティブアセット」に対する投資需要が今後増えていくだろうという仮説を元に事業展開をしています。オルタナティブアセットは、例えばワインとかアートとか。日本国内で例を挙げると、コインランドリー・太陽光発電への投資などが増えてきている印象です。

今までは流動性が無く、アセットとして評価が難しかったものを、テクノロジーを用いて表現していきたいなという世界観が現事業を始めたきっかけだったんです。その最初に踏み出したのが、不動産領域だったという流れです。正直、この領域はオルタナティブアセットの中でも一番デジタル化されていないし、その性質上色々と難しい点が多いです。(笑)

オルタナティブアセットの中でも、不動産を選んだ理由は

川田:正直、この領域はオルタナティブアセットの中でも一番デジタル化されていないし、その性質上色々と難しい点が多いです。加えて、動かせないアセットだからこそ生じる各国ごとのレギュレーションなどで、よりデジタル化が進まないダブルバインドな状況。だからこそ、その分野から攻め込んでいこうと決めたんです。

実際に始めてみて、感じた課題などあれば

川田:やはり、デジタル化が進んでいないアナログな世界を一気に変えるにあたり、スピード感の面でハードルが高いなと感じています。特に、これは国内だからというわけでもなく世界共通の課題なんですよね。

ただ、投資家の方はどうかというと、資産管理状況の確認、判断・指示、税務対応までシームレスな連携を求めているという気づきがありました。加えて、不動産投資の場合国境関係なくアセットを所有しているケースも多くあります。そのため、プロダクトとして国ごとに制度や言語、慣習が異なる中で、如何に対応できる国を増やすことが出来るかは明白な課題ですね。

少し視点は変わりますが、普段の生活上で「オルタナティブアセット(投資)」に触れる機会はそこまで多くない印象です

川田:オルタナティブなアセットに対する投資は今までヘッジファンドや投資銀行を中心に「富裕層向けの商品」、という印象が強くありました。ただ、「オルタナティブ」は「代替」という意味なだけで、株式・債権以外への投資、という意味です。決して、お金をたくさん持っている層だけが対象というわけではないんですよね。WealthParkでは、そういった概念の所からテクノロジーを使って変えていく目標を持っています。

最後に、今後の展開について教えてください

川田:まずは、既存プロダクトの更なるグローバル展開を加速してきます。米国、中国における拠点開設も完了しました。社内のメンバーも過半数は9か国に渡る外国人で構成されグローバルな仲間と共に、準備を進めています。

また、最終的なカンパニービジョン達成のためにも、「クラウドファンディングの持ち分、ワイン、そして不動産もオルタナティブ投資に関わるアセットが買える」、そんなプラットフォームを作り上げていきたいなと考えています。その達成のためにも、まずは不動産領域においてシームレスに、デジタル化をさせていくことを目指していきます。

ありがとうございました

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