高齢化する日本がターゲットーー第一生命なども出資、スマホを使った認知症の検知・治療「Neurotrack」が2100万ドル調達

by ゲストライター ゲストライター on 2019.6.20

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ピックアップ:Cognitive health assessment startup Neurotrack raises $21M Series C

ニュースサマリー:デジタルヘルスのスタートアップ「Neurotrack」は6月11日、シリーズCで2100万ドルを調達した。調達した資金は、認知機能テスト及びメモリーヘルスプログラムのグローバル展開に用いられるという。本ラウンドには、既存投資家のKhosla Venturesに加え、日本の大手保険会社である第一生命と損保ホールディングスが参加している。

同社は10分程度の所要時間で、スマホを使って受けられる認知機能テストを提供。診断には同社が特許を保有する眼球運動追跡アルゴリズムが用いられる。また、メモリーヘルスプログラムを提供し、食事や睡眠といった生活習慣の改善を通した認知機能低下に関する改善アドバイスを実施する。

同社は急速に高齢化の進む日本を成長市場と捉えており、昨年から日本の生命保険会社とともに認知症保険の一環としてプロダクトの試験導入を進めている。

話題のポイント:Neurotrackは米国を中心に急速に成長しているメンタルヘルステックです。メンタルヘルスの予防、診断、治療の領域には機械学習を始めとしたテクノロジーを活用することで、より効率的でパーソナライズされたアプローチが可能になるとして特に米国にて注目されています。

White Star Capitalの調査によれば、米国では5人に1人が何らかの精神疾患を患っており、60%の人が診断を受けることができておらず、適切な治療が施されていないとしています。こうした社会的背景と比例するように、近年では急激にメンタルヘルステックスタートアップへの関心が集まりつつあります。別のVCの調査報告によれば、2018年におけるVCによる同エリアへの投資件数は前年比で約3倍に増加しています。

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Image Credit : Mapping out the Mental Health startup ecosystem

特に予防や診断の分野では、医療機関が介在することが難しくNeurotrackのように手軽にアセスメントを受けることができれば、重症化する前に治療をしたり生活習慣の改善をしたりすることができます。こういった流れにはこれまでの医療のあり方の変化が背景にあります。

国内でも経団連が次世代のヘルスケアの姿として「未病・予防ケアへのシフト」「個別化されるヘルスケア」「個人の主体的な関与」という提言を掲げています。一方でこの実現にはコストなどの観点から、モバイルデバイスやAIといったテクノロジーや医療データの活用が必須になってきます。

一般消費者の意識にも変化が見られます。2019年6月行われた博報堂・日立の共同調査の結果では、AIによるプロファイリングが期待されている分野として、運転や金融などの分野を上回る形で病気予防がトップになっています。

既に予防がポピュラーになっている生活習慣病などに加えて、うつ病や認知症などあらゆる人が患ってしまう可能性がある精神的な病に関しても、予防や定期的な診断を習慣づける必要があると思います。そのためには使いやすく負担にならないUI/UXであり、治療や行動改善など次のアクションへスムーズに移行できるプロダクトが必要でしょう。

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Neurotrackには日本市場向けのページも開設されている(同社ウェブサイトから)

さて、Neurotrackが焦点を当てているのは認知症です。認知症の影響因子は加齢であり、厚生労働省の調査によれば、高齢化が急速に進行する日本では2025年までに730万人に達するという予測もあります。

こういった背景から日本でもNeurotrackと同じように認知症ケアに取り組む会社が出てきています。例えばブレインケアは認知トレーニングや脳トレの提供に加えて、データ分析による認知症予防や認知症リスク低減など幅広く取り組んでいます。

CEOのElli Kaplan氏も述べているように、認知症は多くの場合対処が遅れてしまうことが問題でその予兆を検知し適切な処置を施すことが重要です。そこでNeurotrackは学術的な研究をベースに診断技術を開発したということです。(執筆:矢部立也

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