安心できるスニーカー転売プラットフォーム「kckc(キクシー)」がβローンチ——取引前に価格決定、ブロックチェーン活用の真贋保証機能も

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kckc
Image credit: City Digital

 

90年代中頃、スニーカー人気が爆発的に高まり、定価1〜2万円のモデルが10万円を超える値段で売買されたり、希少性の高いモデルを履いた人が襲撃されたり(エアマックス狩り)するなど、社会問題にまで発展したことは記憶に久しい。あれから約20年を経て、当時学生だった人々が自分の稼ぎでスニーカーを買えるようになった今、現在は世界的にも第二のスニーカーブームを迎えている。

その象徴的存在の一つが、デトロイトに本拠を置くスニーカー転売プラットフォームの「StockX」だ。今週、同社はシリーズ C ラウンドで1億1,000万米ドルを調達し、創業から4年余りでユニコーン入りを果たした。日本では先月「モノカブ」がローンチし、シード資金の調達を発表した。これらのサービスが特徴的なのは、売買時の指し値注文による価格安定(オークションサイトでありがちな、入札終了間近に価格急騰で買えない可能性が少なくなる)、鑑定士による真贋鑑定機能の提供などだ。

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杉野寛樹氏

そして、ここに新たなプレーヤーがまた一つ。東京に拠点を置くシティーデジタルは28日、スニーカー転売プラットフォーム「kckc(「キクシー」と読む)」をβローンチした。この分野に関心を抱くユーザの約9割が iPhone ユーザであることが判明しているそうで、当面は iOS アプリのみで提供する。

kckc を運営するシティーデジタルは、電通や外資系コンサルファームでの勤務経験を持つ杉野寛樹氏が2018年に創業。既存の転売プラットフォームの仕組みに加え、kckc が特に力を入れるのはブロックチェーンと RFID タグを活用した商品の真贋鑑定とその証明の仕組み作りだ。買う側にとっては「kckc で売られている商品なら偽物はない」、売る側にとっては「kckc で売ると高く売れる」というプラットフォームを目指すという。

杉野氏によれば、スニーカーにはたとえ同じモデルであっても一つ一つ異なる特徴点があり(具体的には、色や形、画像、重さの微妙な違いなど)、非破壊の状態で取得可能な個体情報を取り込んでブロックチェーン上に記録し、その情報へのリンクをスニーカーにアタッチする RFID タグに書き込む。この鑑定・証明プラットフォームはオープンなもので、スニーカーの売り手と買い手は、kckc の利用如何に関わらず、この鑑定情報を活用できる。

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kckc
Image credit: City Digital

スニーカーの鑑定作業は現在、シティーデジタル社内の鑑定士が実施しているが、同社ではこのプロセスもオープン化できるのではないかと考えている。ブロックチェーンの Proof of Work(PoW)のコンセプトに似た、スニーカーに詳しいユーザに鑑定プロセスに参加してもらい、適切な評価ができていた場合は報酬を供与できる UI をアプリ上に実装準備中だ。この機能はアプリのα版には公開済とのことだが、ユーザの反応を見ながら期待通りにワークするかどうかを見極め、本実装するかどうかの判断につなげたいとしている。

ハイブランド二次流通プラットフォームの「RECLO(リクロ)」は昨年5月、THE BRIDGE でも何度か紹介している中国向け越境 EC「bolome(波羅蜜)」と提携。これを契機に、日本で一度購入されて二次流通に乗った商品がバカ売れするトレンドが生まれている。つまり、メイド・イン・ジャパンならぬ、チェックト・イン・ジャパンがブランド化しつつある。同じブランドの同じモデルのスニーカーでも、日本で購入したものは長持ちするという現実は、海外のスニーカーファンの間でも定説化しているようで、このような機会を最大限に活用すべく、シティーデジタルは kckc の早期の海外展開も視野に入れている。

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