韓国のホームクリーニングスタートアップMiso(미소)、ペットとペットシッターのマッチング事業に参入

by Tech in Asia Tech in Asia on 2019.6.20

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韓国語でペットは「イェワン・ドンムル(애완동물、漢字にすると「愛玩動物」)」と記される。しかし、韓国でペットの飼育数が増え、ペットが家族の一員として見られるようになったことで、ペットを表す言葉も変わりつつある。最近では、ペットのことを「パンリョ・ドンムル(반려동물、漢字にすると「伴侶動物」)」と呼んでいる。

ペットが人間の生活において重要な役割を担うようになっても、仕事中や休暇中まで、四六時中ペットの世話をし続けることはほぼ不可能だ。韓国では、約半数の家庭が共働きでほとんど家におらず、ペットの世話をする時間もほとんどない。

Image credit: Miso

韓国に拠点を置くホームクリーニング企業 Miso(미소)は最近、ペットケアサービスに参入した。同社はペットを見回って食事や飲み水(必要な場合は薬も)の世話をし、近所の散歩にも行ってくれる。

2015年に設立された Miso は、韓国10大都市のうち8都市でサービスを展開している。同社のビジネスは非常にわかりやすい。例えば、週に3回自宅の掃除をしてもらいたいと思ったら、Miso のアプリを使ってサービス業者を探す(Miso には約2万の業者が登録されている)。そこから Miso が手数料を徴収する仕組みだ。

Miso はユーザからの収益を増やすために、数年前からエアコンや洗濯機の掃除にまでサービスを拡大してきた。

4年とたたないうちに同社の顧客は20万人に達し、130万件のサービス(5,000万米ドル相当)を提供した。資金面では、合計1,050万米ドル以上を調達しており、そのうち800万米ドルは2018年9月のシリーズ A ラウンドで調達している。

以前から Miso に投資している Y Combinator や AddVenture は、Social Capital などの新たな支援者とともに直近のラウンドにも参加している。

確かにホームクリーニング業界でのトラクションは獲得したようだが、なぜ Miso はペットケアサービスに進出したのだろうか?

Miso のペットサービス部門ジェネラルマネージャー Justin Kim 氏によると、数字による裏付けがあるという。韓国人の5人に1人がペットを飼っており、ペット市場の複合年間成長率は約27%になるという。現時点で Miso が国外にサービスを展開する予定はないが、このトレンドは韓国以外でも起こっている。

最近の調査によると、2014年の東南アジアのペットケア市場規模は9億5,200万米ドルで、2020年までには14億米ドルに達する見込みだ。ペット飼育の増加に伴って、東南アジア地域のペットケアに対する需要も増えている。

例えばフィリピンでは、80%以上の家庭で少なくとも1頭のペットを飼っている。

私たちの目標はお客様により多くの幸せな瞬間を提供することです。例えばホテルだと、宿泊客はシーツの交換やシャンプーの詰め替え、ドライクリーニングの心配をする必要はありません。同じことを韓国の一般家庭で、手の届く価格で実現したいと考えています。(Kim 氏)

ペットの種類に合わせてペットシッターをマッチング

3ヶ月のテスト期間を終えて4月29日にローンチされた Miso の新たなペットサービスは、現在韓国で人口が最も集中しているソウルとキョンギで利用できる。

サービスの内容は次のようなものだ。ペットの世話や散歩を誰かに頼みたくなったら、資格を持つペットシッターを Miso に紹介してもらう。ペットシッターは30分、または1時間単位で予約することができる。30分の場合、費用は約12米ドルで、1時間になると約17米ドルかかる。

この記事の執筆時点では、ソウルだけで300以上のペットシッターが Miso のサービスに登録している。Kim 氏によると、ユーザについては現時点ではリピーター率に注目しているという。

テスト期間中は、Miso のペットサービスを利用したユーザのうち85%がリピーターで、平均客単価は約20米ドルだった。

Miso のペットケアサービスが対応しているのは犬と猫だけで、鳥や魚、爬虫類には未対応だ。しかし、チワワの散歩の仕方を知っている人でもグレートデーンの世話のやり方まで知っているとは限らない。このような状況に対応するために、Miso ではペットの飼い主と、そのペットに最適なペットシッターをマッチングさせるための独自のアルゴリズムがある。ペットシッターのチェックプロセスは Miso のサービスに登録される前から行われている。

当社ではペットシッターと実際に会って面接し、明確なモチベーションがあるかどうかを確認しています。またシナリオを使ったテストも実施しています。

面接中の回答を通じて、適切な回答とそうでない回答のデータベースを構築します。適切な回答が多い人ほどサービス品質も高くなるというわけです。当社では、ペットの飼い主とペットシッターの間で良好な関係を築いてもらいたいと考えています。これは犬にとってもメリットがあります。犬にとっても毎回違う人が来るのは望ましくありません。飼い主にしてもペットから信頼される人に来てもらいたいと考えているはずです。(Kim 氏)

Justin Kim 氏

不思議な感じもするが、ペット市場においてはペットの飼い主の友人や家族が Miso の最大のライバルになると Kim 氏は考えている。それは、「ペットを安心して任せられる人」よりも、ペットの世話を個人的に頼めそうな人の方が良いからだと Kim 氏は言う。

ただし、そこは人間関係というものがあります。ペットのために今日してほしいことが30個あるけど、お金は払えない、とは友人や家族にはなかなか言えないですよね。当社では、良いサービスには相応のお金を払うというよりスマートなやり方をとっています。

競合となるスタートアップや既存の企業も3~5年以内には次々と参入してくると Kim 氏は予想している。韓国にはすでにペット用のホテルもある。しかし価格面で見ると、韓国のペットホテルや犬用ホテルは1泊30~70米ドルはかかり、Miso のサービスに比べるとかなり高額になる。

さらにテクノロジーの壁というものがあり、Kim 氏はここにこそ Miso の競争力を発揮できる余地があると考えている。

Airbnb マーケットプレイスのようなモデルもあります。そういったサイトにはペットシッターのプロフィールが掲載されていますが、ユーザはそれらを1つずつチェックしなければなりません。ぴったりのペットシッターを探すためにユーザに負担が強いられているのです。私たちのやり方はこれとは異なります。Miso ではユーザの条件に合わせて最適なペットシッターをマッチングさせます。

苦しい戦い

ゼロから Miso の新しいビジネス分野を開拓してきた Kim 氏のこれまでの道のりは、決して順風満帆ではなかった。

2018年11月に Miso に参加するまで、Kim 氏は香港の多国籍企業で働いていた。

前職では不確かなことなどほとんどなく、物事はスムーズに進んでいました。スタートアップの世界に飛び込んだことで世界が一変しました。

Miso は急速に成長していますが、先のことはほとんど予想がつきません。

Miso が直面している重要な問題は、どうやってサービス業者とユーザにマーケットプレイス上にとどまってもらうかということだ。サービス業者とユーザのマッチングが成立すると、手数料を払わなくてすむように、マーケットプレイスを使わずにやり取りが行われる傾向にある。

一方、Uber などの配車アプリではそのようなことは起こらない。ユーザは誰がドライバーでもほとんど気にしないし、サービス品質にも差がないからだ。

Kim 氏はこう強調した。

この問題に対処するための、最もシンプルで効果的な方法は、Miso の外でユーザとやり取りした業者を完全に締め出すような厳しいルールを定めることです。

平均して、サービス業者1社につき1ヶ月あたり3~4人のユーザにサービスを提供する機会があります。Miso にはセキュリティとインフラのサポートがあるだけでなく、実用的な観点からもメリットがあるため、Miso のシステム内で全てのやり取りを行わない理由はほとんどありません。

文化的な事情も Miso にとって問題になるかもしれない。いまだに、特に韓国人と動物との関係について誤解があると Kim 氏は指摘している。

アメリカでは、Jay Leno 氏のようなコメディアンが、韓国人は犬を食べるというジョークを言っているのを耳にします。

Kim 氏の主張は間違いではない。2000年代初頭、韓国のスケートショートトラック選手が冬季オリンピックで失格になったことに腹を立て、「帰宅したら犬を蹴り、その犬を食べる」というジョークを Leno 氏が言ったのである。

最終的な目標として、このような誤解も変えていきたいと考えています。すでにペットを飼育している人たちにサービスを提供するだけでなく、誰でもペットを飼えるような状況にしたいと思っています。私たちが、ペットの飼い主と同じくらいそのペットを愛しているということを示していきたいのです。(Kim 氏)

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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