オープンバンキングって何?ーースウェーデン発「Tink」がPayPalとパートナシップを締結、そのユースケースを調べてみた

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ピックアップTink, the European open banking platform, announces PayPal as a strategic investor

ニュースサマリー:スウェーデンのフィンテックスタートアップ「Tink」は4日、1120万ドルの資金調達を実施したと発表した。調達元はPayPalで、同社とは戦略的パートナシップを結ぶ。Tinkはが手がけるのはPFM(Personal Financial Management:個人資産マネージメント)アプリケーションで、今年2月にはシリーズDにて6400万ドルの資金を調達していた。

話題のポイント:APIを通じて金融機関の情報をオープンに利用可能にする、いわゆる「オープンバンキング」が欧州を中心に拡大しています。以前、スウェーデン版マネーフォワードとしてご紹介したTinkもその代表格です。

今回戦略的パートナシップを結んだPayPalに対し同社ユーザーがPayPalアプリ内部から銀行口座残高を確認できる機能や、口座接続をシームレスにする機能などの提供をしていくとしています。

ただこのオープンバンキングですが、具体的にどのようなベネフィットがあるのでしょうか。本稿では彼らが示している具体的なユースケースを辿りながらオープンバンキングの流れを確かめてみたいと思います。

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最初のユースケースは、法人向けの「複数口座管理」です。法人側はTinkのシステムを導入することで、ユーザーの銀行口座情報を即座に得ることが可能です。例えば上記は、スウェーデン銀行がTinkを用いて導入している「The Mortgage Match」と呼ばれるもの。ユーザーは、同サービスにて銀行口座を入力し、既に利用しているローンと同銀行のローンを比較することが可能です。そのため、銀行側はユーザーに対し有益な提案をすることが出来るようになる、という仕組み作りなわけです。

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第二のユースケースは、コンシューマー向けのPFMアプリケーション。同社のアプリでは、登録している銀行口座を通してあらゆる支払い手続きや他銀を含むあらゆる銀行への送金を一括して実行可能です。同社によれば、既にスウェーデン国内にて50万人がTinkアプリを利用しているとしています。

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第三のユースケースは、諸銀行へ向けたPMFマネージメントAPIの提供です。Tinkで実行可能なPMF機能を、銀行のアプリケーションに導入を進めています。導入例として、法人向け銀行口座を提供するNordic Bank SEBが挙げられていました。同銀行は1970年に設立と老舗ですが、Tinkのシステムをそのままインテグレーションすることで使いやすいUI/UXを提供出来ていることがわかります。

国内でも同様の動きをマネーフォワードが実施していますが、どちらかというとマネーフォワードのアプリに銀行側が集約されており、各銀行をオープン化するという点で少し様子が異なるかもしれません。

地方銀行に関しては統合などの話題が絶えません。銀行自体のベネフィットをテクノロジーでどのように変えていくのか、日本でもこのオープンバンキングの動きが拡大するか注目しています。

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