創業2年で評価は26億ドル(2800億円)ーースタートアップ限定法人カード「Brex」の差別化要因はどこに

by Taishi Masubuchi Taishi Masubuchi on 2019.6.18

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ピックアップTwo-Year Old Startup Brex Now Has A $2.6 Billion Valuation

ニュースサマリー:サンフランシスコ発フィンテック・スタートアップ「Brex」は11日、新たにシリーズCにて1億ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はKleiner Perkins Growth Fundが務める。その他にもY Combinator Continuity、Ribbit Capital、DST Global、Greenoaks Capital、IVPが参加した。

同社はスタートアップ向けに独自のリワードプログラムや、クレジットスコアを必要としない独自の審査方法にて法人向けクレジットカードを運用するスタートアップ。今年4月にも、同社は1億ドルの資金をBarclay Investment Bankから調達していた。今回のラウンドにて、同社のバリュエーションは26億ドルと報じられている。

話題のポイント:1週間ほど前から噂されていた、BrexのシリーズCにおける資金調達がようやく公開に至りました。同社がなぜ単なるフィンテック企業ではなくここまで注目され、またYCにも選出されているのかは以前の調達時にお伝えしました。

<参考記事>

同社はクレジットスコアがなく、クレジットカードを発行出来ないスタートアップの課題を解決しようとしています。

同社のサイトに記載されている説明によれば、通常米国では、スタートアップが法人カードを作る際個人のクレジットスコアやSSN(Social Security Number)が求められるそうです。2017年にFRBが公開したデータによれば、全米の87%の経営者は、個人のクレジットスコアを利用した資金の調達を実施していると報じています

一方で同社のライバルには、独自の発行判断を元にスタートアップを支援しているアメックスやBento for Business、Divvyなどがいます。しかし、Brexはその中でもスタートアップに特化したリワードプログラムを導入し、そのブランド力を底上げしているのが特徴です。

もう少し掘り下げてみましょう。なぜ彼らが大手を出し抜けたのでしょうか?

法人カードを個人のクレジットスコアで作成する理論は一見、誰にでもフェアに対応しているように見えますが実はそこに大きな落とし穴が潜んでいます。下図は、Brexが指摘している既存システムの問題点。法人カード作成の際の契約書に、小さい文字で「Jointly and Severally Liable(連帯責任)」が記載されており、これはカード発行時点で個人資産が担保になされていることを意味しています。

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American Express Terms & Conditions

Brexによれば、この条項により60%ほどのスタートアップ創業者がクレジットカードの借金により最大5万1000ドルに相当する個人資産を差し押さえられる結末を迎えていると公表しています。

その面Brexでは個人ではなく、企業のキャッシュフローや従業員の詳細、銀行状態をベースに独自の手法で発行判断をすることで差別化を果たしました。

同じ信用情報であってもスタートアップというのは不安定な状態が続きがちです。つまり、より実態に即した形で資金提供をするというスタンスが彼らをしてここまで急成長させた、ともいえそうです。期待値が大きいだけに今後、どのような伸びを示すのか注目したいと思います。

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