日本酒を世界に広めるWAKAZE、シリーズAラウンドで総額1.5億円を調達——夏にもパリで酒蔵を立ち上げ、欧州で独自銘柄を販売へ

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2019.6.17

WAKAZE のチームメンバー。東京・三軒茶屋の直営飲食店・醸造所前で。
Image credit: Wakaze

日本酒醸造スタートアップの WAKAZE は17日、シリーズ A ラウンドで総額1.5億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、Spiral Ventures、ニッセイキャピタル、キユーピー創業家のファミリーオフィスである中島董商店のほか、エンジェル投資家として、永見世央氏(ラクスル CFO)、御立尚資氏(Boston Consulting Group シニアアドバイザー)、長尾卓氏(プロコミットパートナーズ法律事務所)と、名前非開示の1名。

WAKAZE はこれまでブートストラップモードで運営されており、同社にとって今回の調達は初めてのものとなる。同社は今回調達した資金を使って、パリ都市圏に自社醸造所を設置し独自銘柄を開発、フランスをはじめとするヨーロッパでの日本酒販売や、逆輸入による日本国内での販売を目指す。先ごろ、同社がフランス進出を冠して Makuake で実施したクラウドファンディングでも資金調達に成功していた。

WAKAZE は、フランス政府の奨学金給費生として École Centrale Paris に留学経験があり、以前はボストンコンサルティング・グループで経営戦略コンサルタントをしていた稲川琢磨氏らにより設立。一般的に、「一つの酒蔵から年に一つ新しい銘柄の酒が生まれればいい方」とされる中、週に一度のペースで新しい銘柄を生み出す「日本酒のリーンスタートアップ的な製造体制」を確立している。東京・三軒茶屋の直営飲食店に併設された醸造所で新種を開発、一定規模での生産は山形県鶴岡市の醸造所で行なっている。

WAKAZE の日本酒
Image credit: Wakaze

彼らが目指すのは、クラフトビールの世界にも似た、クラフト日本酒や D2C の波を日本酒の世界に引き起こそうというものだ。日本酒の需要が高まるヨーロッパにも進出し、安価で高品質の日本酒製造と流通を現地で展開する計画だ。今夏、パリ都市圏で設置される醸造所の杜氏には、実家が酒蔵で東大農学部・オイシックス出身の今井翔也氏が就任する予定。

稲川氏によれば、ヨーロッパではワインの消費量が減少しており、一方で新しい酒のカテゴリ、とりわけ日本酒の市場が拡大しているのだという。和食屋のみならず、一般のレストランでも日本酒が供されることは珍しくなくなったが、ここで課題になるのが日本酒の価格だ。多くの日本酒は日本から輸入品であり、関税がかかることもあって、店舗での提供価格は優に一杯10ユーロを超えてしまう。ビストロでワインを飲むのと同じ感覚で一杯5ユーロ程度で日本酒を出すことができれば、日本酒の受け入れられ方はさらに加速するだろう。WAKAZE は現地生産の D2C という形でこれを実現しようというわけだ。

今回、投資家に中島董商店が名を連ねていることも興味深い。同社は関連会社を通じてフランスにワイン工場を保有するほか、レストランなどとの取引関係を持っているため、WAKAZE の販売チャネル開拓にも大きく寄与することが期待される。

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