インターネットサービス多言語化のWOVN、VCや事業会社6社から14億円を資金調達——累積調達額は約20億円、インバウンド需要をさらに開拓へ

SHARE:
左から:取締役製品担当 Jeff Sandford 氏、代表取締役社長 林鷹治氏、取締役副社長 上森久之氏
Image credit: WOVN Technologies

各種多言語化サービス「WOVN.io(ウォーブン・ドット・アイオー、以下、WOVN と略す)」を提供する WOVN Technologies(以下 WOVN と略す)は5日、直近のラウンドで VC や事業会社6社から14億円を調達したと発表した。

このラウンドのリードインベスターは Eight Roads Ventures Japan が務め、NTT ファイナンス、オプトベンチャーズ、近鉄ベンチャーパートナーズ(近鉄グループホールディングスの CVC)、マイナビ、OKB キャピタル(大垣共立銀行の投資部門)。ラウンド名は不明。これに加えて、WOVN は銀行3行からの融資枠を確保したことも明らかにしている。

公開されている限りにおいて、これは WOVN にとって、2015年9月のシリーズ A ラウンド(1.3億円の調達)、2016年12月のシリーズ B ラウンド(3億円を調達)に続くもので、累積調達額は約20億円に達した。同社では、インバウンドや外国人労働者増加を受けての、事業会社各社に向けたビジネスの加速とプロダクトの機能強化などに資金を活用するとしている。

WOVN は2014年に MVP(実用最小限製品)をローンチ、Java Script 1行をウェブサイトに挿入することで、多言語対応できる機能を提供してきた。2017年末にはエンタープライズ対応を充実させた「WOVN.io PRIME」をリリースし、標準機能を実質無料化。また昨年7月にはモバイルアプリを多言語化できるSDK「WOVN.app」をβローンチしている。

今回のラウンドに参加した NTT ファイナンスは、これまでシリコンバレーを中心に投資活動を展開してきたが、昨年から国内でも投資を強化しつつあり、WOVN への出資はその先駆け的な位置付けとなる。WOVN への出資により、NTT グループ各社を通じて在日外国人270万人への WOVN を使ったサービスレベルの向上を狙う。直近で考えらえるのは、NTT 各社のサービスへの WOVN を使った多言語環境の実装だ。

近鉄ベンチャーパートナーズの親会社である近鉄グループホールディングス(東証:9041)は、近畿地方を中心に鉄道・運輸全般のほか、都ホテルに代表される宿泊事業も展開しており、昨今のインバウンド需要に加え、2025年の大阪万博に向けたサービスの国際対応への WOVN の活用が期待される。

マイナビは就職・転職情報サービスや人材紹介サービスを提供しているが、従来からある外国人の「高度人材」需要に加え、今年から運用開始となった在留資格「特定技能人材」の需要も取り込みたい考えで、WOVN を活用し多言語へのサービス拡張を行い広く人材を集めていく考えだ。

WOVN では今回の資金調達を受けて、事業加速・拡大に向けてさらなる体制拡充を行う考え。その展望詳細については、6月19日に都内で開催するカンファレンス「GLOBALIZED 2019」(日経 BP 総研主催、WOVN Technologies 協賛)で明らかにするとしている。

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する