Alipay(支付宝)が、自社の顔認証決済システム「Smile to Pay(刷臉支付)」向けに新しい美顔フィルター機能をローンチする。女性ユーザの利用を増やすのが狙いだ。
同社が TechNode(動点科技)に伝えたところによると、商品購入時にユーザが顔をスキャンすると美顔フィルターが自動的に適用され、機器に表示される顔立ちをわずかに盛ってくれるという。
この新たな機能は、7月第2週に全国的に展開される予定。
中国のモバイル決済オペレーターである同社が、自社の Weibo(微博)上の公式アカウントに投稿したところによると、多くの女性ユーザが画面に映る自分の顔に良いイメージを抱いておらず、そのため「Smile to Pay」システムを利用していないという。
Sina Tech の Weibo ページに掲載された実施中の投票によると、7月3日朝の時点で、60%以上の回答者が顔認証決済機器の画面では見た目が悪くなると答えており、一方で写真と変わらないと答えた人は10%以下だった。画面上の自分の顔映りよりも決済機能の方が気になると答えた回答者は27%程度だった。
Alipay の新しい美顔カメラ機能はただちに関心を集め、Weibo 上で何百人ものユーザがコメントを残している。その多くが共通して、画面上に顔が映されることで、公共の場で恥をかき自分の見た目を意識するようになると恐れている。
あるユーザは次のようにコメントしている。
まず、写真がきれいに撮れる45度の自撮り角度じゃなかったら、画面に映る自分の顔がひどい感じになりそう。あと、メイクをしているとたぶん機器が自分の顔を認識できないだろうから、そうなるととても恥ずかしい思いをすることになりそう。
Alipay は、昨年末に決済システムの「Dragonfly(蜻蜓)」を展開している。主に小売店で、顧客は POS 端末で顔をスキャンし決済できる。
Sina Tech(網易科技)が引用したある Weibo ユーザはこのようにコメントしている。
真正面から撮ると顔が歪んで映るよ。自分の後ろにたくさんの人が並んでいて自分のやばい顔が見える状態で支払いなんて…とても耐えられない。
別の Weibo ユーザは、Sina Tech の記事によると、画面に表示される顔は ID 写真よりもひどく、母親でさえ彼女だとわからないだろうと不満を述べている。
中国はいち早く顔認証技術を取り入れており、食料品店での決済、ホテルのチェックイン、またライドヘイリングのドライバーの身元確認にさえ利用されている。
世界中に10億人以上のユーザを抱える Alipay は、顔認証システムの「Smile to Pay」を2017年9月に商業利用の目的でローンチした。Alipay によると、この自社開発の顔認証決済システムは、中国全土において300都市以上で展開されているという。同社は以前、顔認証決済が今後3年間で爆発的に増えると予想していた。4月には、30億人民元(約470億円)を費やし、同社の POS 顔スキャン決済システムを全国で推進する計画を明らかにしている。
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