職人をつなぐ助太刀が7億円の調達を完了ーー7万人が利用する建設現場のお仕事インフラに

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ニュースサマリ:建設業の受・発注者マッチング「助太刀」は7月2日、スパークス・グループが運営する「未来創生2号ファンド」を引受先とする第三者割当増資の実施を公表した。調達した資金は5億円。出資比率などの詳細は非公開。今年4月に公表しているJA三井リースおよび工機ホールディングス(以下、工機HD)による出資と合わせ、7億円の資金調達ラウンドを完了させた。今回調達した資金でアプリの開発を進めるほか、人材採用・マーケティング活動を推進させる。

話題のポイント:4月から順次公開していた助太刀の調達ラウンドが完了しました。助太刀は建設現場の職人さんをエリアと技術でフィルタし、人手が欲しい現場を仕切る親方さんにマッチングするサービスです。7万人の職人さんが登録していることから媒体としての価値も生まれ、職人さん向けの広告事業など新たなビジネスも立ち上がりつつあるそうです。

そこで本稿では同社代表取締役の我妻陽一さんに創業から2年弱、助太刀の急成長について、事業の方向性など状況をお伺いしてきました(太字の質問は全て筆者、回答は我妻氏)。

助太刀ではいくつかの事業を立ち上げている。改めて整理をしたい

我妻:現在展開しているのは、アプリ「助太刀」職人のマッチング、建設業に特化したファクタリングサービスの助太刀Pay、アプリ内広告の助太刀Adsの3つです。アプリリリースから約1年半を経て収益化が始まったところ、という状況です。

それぞれのトラクションは

我妻:公開しているトラクションとしては、助太刀自体のユーザー数は今日(取材日の6月後半)時点で7万人突破しています。有料化は5月からスタートしたばかりですが、発注を多くする職人さん(親方や社長など)のニーズを掴んで順調な進捗です。助太刀Payの流通額などは非公開ですが、セブン銀行さんとのアライアンスのおかげで全国で多くの職人さんたちに利用されている状況ですね。

新たに広告の事業も開始している

我妻:職人さんに直接アプローチしたいというメーカーさんからの引き合いが多かったんです。現在は日産自動車さんやJTさん、工機HDさんなどに出稿いただいており、他にも多数の大手メーカーさんから問い合わせが届いている状況です。

事業展開の軸足はどのように考えている

我妻:やはりアプリ助太刀の会員数と課金率を大切にしています。調達した資金を活かして、アプリ改善と大胆なマーケティング施策を打つ予定です。

工機HDとは資本業務提携を結んで近い関係になった。今後、職人の経済圏を作る上でどのようなビジョンを持っている

我妻:工機HDさんとは、今年から着手する「助太刀ストア」での協業も見通していて、ユーザーヒアリングや職人応援キャンペーンなどすでに取り組みとしてスタートしているものもあります。

我々が目指す経済圏は「助太刀をアプリに入れておけば、仕事が貰えて、応援も呼べる。材料、工具、建機リースも助太刀から頼めばその日のうちに現場に届く。支払いは助太刀カードでOK。工事代金は即日で助太刀Payでコンビニで受け取れる」という世界観です。

ありがとうございました。

ーーインタビューで興味深いと感じたのは助太刀自体の業界内ポジショニングです。

現在は職人さんが仕事を調整する際のメッセンジャーとしての役割を確立していて、気になる職人さんとマッチングが成立するとチャットが始まり、現場の待ち合わせなどのやり取りができる、という具合なのだそうです。

4月時点で6万人でしたから、約2カ月で1万人伸ばしている状況ということで、着実に建設現場の「お仕事インフラ化」が進んでいる印象でした。また、これまではマッチングの手数料モデルでしたが、5月から月額定額の課金モデルに変更しているのもポイントです。

彼らを見ていると、建設現場の人手不足問題が実はマッチング不足だったのでは、という課題の本質が浮かび上がってきます。我妻さんのお話では助太刀をうまく活用し、若手でも大きな現場に人手を集めて仕事をこなしている親方さんも出てきているそうです。こういった事例をたくさん作ることで、やがて彼らが会社をつくり、不安定とされる建設現場に職の安定をもたらすことになる、とされていたのも印象的でした。

現在、助太刀は現在国内が20名ほど、海外の開発拠点に20名ほどの陣容で、今後はカスタマーサクセスのチームを中心に組織の拡大を考えているそうです。

助太刀では先日発生した新潟・山形地震の災害復興支援で職人さんの応援を求める現場を支援する動きを見せていました。私たちの生活インフラを支える方々の職の安定や人手不足問題の解決は社会的な意義も大きく、彼らの今後の成長にも引き続き注視していきたいと思います。

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