コスメEC「NOIN」8億円調達、1年半で200万DL達成・購入単価は4000円にーー元Gunosy千葉氏経営参画も

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写真左から:ノイン取締役の千葉久義氏と代表取締役の渡部賢氏。新オフィスにて

化粧品ECプラットフォーム「NOIN」を提供するノインは7月8日、DGインキュベーションをリードとする第三者割当増資の実施を公表した。今年6月に調達したもので、引受先となったのはリード以外にSTRIVE、500 Startups Japan、みずほキャピタル、DK Gate、AGキャピタルほか。調達した資金は約8億円で出資比率などの詳細は非公開。これに伴ってDGインキュベーションの上原健嗣氏が社外取締役に就任している。

また、同社は2019年3月にGunosy執行役員を務めた千葉久義氏が取締役に就任したことも伝えている。同氏はGunosyでマーケティングを統括した人物で、ノイン代表取締役の渡部賢氏と共に経営体制の強化を進めるほか、今回の出資を機にNOINのマーケティングを推進する。

NOINの公開は2017年10月。化粧品に特化したコマースアプリでメイクなどのハウツー動画を導線に、そこで使われているコスメが直接買えるという体験でユーザーを獲得してきた。開始約半年でノンプロモーションながら40万ダウンロードを達成し、そこから約1年経過した現在は200万ダウンロードのプラットフォームに成長している。

自社内でコンテンツの制作からECのオペレーション、配送などまで手がけており、今回調達した資金で運営体制の強化をはかる。また、連携している化粧品メーカーに対して購買データの展開やCRMツールの提供なども予定している。本誌では渡部氏、千葉氏に事業状況についてショートインタビューを実施してきた(太字の質問は全て筆者)。

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前回の2回目となるシリーズA調達に続いて大型調達を成功させた。前回で既に成長期に入ったという認識だったので、今回はマーケティングなどへの踏み込みという理解だが、どういった投資を実施する

渡部:マーケティングのプロフェッショナルとしてCOOの千葉(久義氏)が参画したこともあり、CMの様な大型のプロモーションも次の施策としては検討しています。また、資金使途のもう一つとしては化粧品メーカーやブランドさんにご利用いただくマーケティングデータの解析ツールやCRMツールの開発に当てていこうと思っています。

現状のEC事業を伸長させていくのは当然のことながら化粧品メーカーさんやアーティストと組んで新しいブランドを立ち上げていくというようなことにも挑戦していきたいです。

この一年、ユーザーの反響は

渡部:当初、化粧品は種類が多すぎて何が適切なものなのか選べない状態だから、NOINからの提案自体がユーザーに刺さるだろうと思っていました。現在、ユーザーの悩み解決にフォーカスした商品説明コンテンツが好評です。こういった商品説明コンテンツが充実していることで、ユーザーが商品を購入しやすくなっていると考えています。

想定と異なった点は

渡部:そうですね、想定外だったのは1回あたりの購入単価が4000円を超えるほど高くなったことです。当初予想だと若いユーザーなので2000〜2500円程度かと思っていましたがかなり購入単価が高めです。コンテンツを通じてよいものであるという理解が深まると購入意欲も引き上げられるのだと考えています。

一方でアプリの評価に一部ユーザーから配送などの点で厳しい意見もみられた。CSなどの体制でどのような対応を考えているのか

渡部:想定以上に配送が増えてきたり、扱い商品数が順調に増加していることもあり、不本意ながら当方のオペレーションミスでお客様にご迷惑をおかけしてしまうことも出てきてしまいました。

ユーザーの手元に届いて使って頂くまでが我々のプロダクトでの体験だと考えているので、CSやロジスティクスの体制に関しては最重要と捉えています。多量の受注を受けても迅速にお客様に商品をお届けできるよう、ピッキングや配送などの倉庫管理のアプリケーションを内製で開発しています。CS部門を立ち上げ、トラブルの際には、お客様のお問い合わせに対し、社内の配送データなども使い、迅速なトラブル解決ができるフローを整えています。

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話を変えて事業のポジショニングについて。ビジネスモデルは多様なブランドが集結した「コスメ版のZOZOを目指す」という発言もあったが、その戦略は変わっていない?

千葉:コスメECのプラットフォームとなるという点では変わっていません。ただ、購入データが蓄積してきたことで、今後は化粧品メーカーへのデータ提供やCRMツールの提供など、データを活用したマーケティング支援を強化していく予定です。

コスメブランド市場には@cosmeや急成長中のLIPSのようなプレーヤーもいる。彼らをどうみている

千葉:我々はメディアではなく、販売まで行うECのプラットフォームです。メディアであるLIPSさんや@cosmeさんは競合ではなく共存できるパートナーとなりうると思っています。実際にLIPSさんが7月1日にアプリ内に実装したクーポンにも我々のクーポンが入っており、相互送客も行っています。ユーザー層という視点においては、我々のユーザーの平均年齢は25.8歳でおそらく一番近いのはLIPSさんです。@cosmeさんだと我々よりも10〜15歳くらい年齢層が高いと思っています。

データ提供について詳しく。ブランドに対してどのような価値を提供する

千葉:データという観点では、エンドユーザーから見えるNOINのアプリだけでなく、ロジスティクスまで、お客様の購入からお届けまでにかかる業務のほぼすべてのシステムを内製化しており、全フローのデータを自社基盤で保有しています。

これらのデータを分析することで、より効果的なマーケティングやシームレスな購入体験を可能にする体制を作っています。取引先となる化粧品メーカーさんに対しては、我々の販売データをお戻ししてマーケティング活動に活かしていただいたり、CRMのツールとして我々をご活用頂けることが特徴となっています。

成長数字について。サービスイン半年だった1年前(2018年3月後半)で40万ダウンロードという数字が200万件にまで拡大しているが、それ以外に伸びたものは

渡部:実際に直販を始めたのは昨年の9月からですが、現在440ブランド5500SKU(※Stock Keeping Unitの略。商品コード数)の商品ラインナップとなっています。

ありがとうございました。

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