香港RISE 2019、2日目のまとめ——中国インターネットレポート、ソーシャルロボット、DiDi(滴滴出行)の日本向けローカリゼーションなど #RISEConf

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本稿は、RISE 2019 の取材の一部である。過去の RISE に関する記事はこちらから。

香港 RISE も2日目。何回目からかは忘れたが、ここ数年で定番化した人気コンテンツの一つに「中国インターネットレポート」がある。このレポートは、香港の地元紙 South China Morning Post とその姉妹サイトである Abacus と、以前は 500 Startups のパートナーで、今春ブロックチェーン特化 VC の Proof of Capital を立ち上げた Edith Yeung 氏らが毎年更新している。

100ページ上からなるこのレポートを要約すると、昨年から今年にかけての中国のインターネットトレンドはこうだ。

  • 昨年の大型 IPO は Xiaomi(小米)と China Tower(中国鉄塔)だった。今年期待されるのは、Tik Tok(抖音) が好調の ByteDance(字節跳動)短編動画アプリの Kuaishou(快手)か。
  • 中国のテック大手と言えば、これまで BAT(Baidu=百度、Alibaba=阿里巴巴、Tencent=騰訊)だったが、これからは TMD(Toutiao=今日頭条、Meituan-Dianping=美団点評、Didi=滴滴出行)にも注目。TMD は元々の基幹ビジネスをベースに、アプリをスーパーアプリ化してサービスを拡充しつつある。
  • AI は中国でもトレンド。特に、中国では、個人認識とサービスのパーソナライズ化の2つに用途は集約される。特に前者は、政府によって犯罪抑止や要注意人物の捕捉などに活用されるのが特徴的。
  • 5G が実装されるのは、世界的に見てもアジアで中国と韓国がかなり早いとされる。特に、広大な国土に広がる複数の大都市で 5G が実装されるのは中国が最初の市場となるため、5G ならではさまざまなユースケースが生まれることが期待される。
  • 欧米サービスのコピーキャットが多いとされてきた中国市場だが、現在では逆に中国のテクノロジーサービスが欧米にコピーされるようになりつつある。例えば、短編動画サービスや QR コード決済サービスは、欧米のテック大手が同様サービスをリリースしている。

DiDi(滴滴出行)のチーフセキュリティオフィサー(首席信息安全官)Zheng Bu(卜峥)氏は、Didi の世界展開の現状について報告。ここで面白い話が披露されていた。日本でも一部地域で DiDi が使えるようになっているが、基本的に DiDi が契約しているタクシーが配車される仕組みになっている。

日本のタクシー運転手は手袋をしているため、DiDi アプリで配車依頼に応じる操作ができないというわけだ。配車依頼が来てから手袋を外してスマホアプリを操作していたのでは間に合わない。そこで、DiDi では配車依頼の受託などを音声で操作できる機能を追加したのだという。この仕組みは日本以外に、オーストラリアでも導入される模様。

最後に、スウェーデンのロボティクススタートアップ Furhat Robotics が開発したソーシャルロボットが、AI やロボットをテーマとしたステージでは注目を集めていた。人の顔の形をしたオブジェクトに、内部から人の表情を投影する形で動作する。必要の都度、さまざまなアプリケーションをローディングすることで用途に合わせた動作をさせることができる。高齢者との対話、患者の事前問診やテレメディシン対応、言語習得などユースケースは多数。

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