
政情不安や広がる経済不安の最中、Alibaba(阿里巴巴)が支援している人工知能(AI)スタートアップ Megvii(昿視)が香港証券取引所での株式上場のため、IPO 申請を行った。
重要視すべき理由:Megvii は中国公安機関の主要サプライヤーである。同社の顔認識技術はモバイル決済から人物監視に至るまで、中国全土で広く利用されている。
- 数ヶ月にわたる香港の抗議行動を受け、Alibaba を含む他社が投資家感情を注視している中、Megvii は上場計画を推進している。
- 伝えられるところによると今年初め、同社は現在進行中の米中貿易摩擦を受け、上場計画を再検討していた。
- Megvii は Ant Financial(螞蟻金融)、Foxconn (鴻海/富士康)、Xiaomi(小米) などの企業に自社技術を提供している。
詳細情報:香港証券取引所に提出した文書では調達額を開示しなかったが、Reuters と Bloomberg が引用した情報筋によると、推定5億米ドルから10億米ドルに及ぶという。
- Megvii の上場申請は、同社の財政状況について知る材料となる。上半期の収益は前年同時期と比べ200%以上増加し、9億5,000万人民元(約140億円)近くに達した。提出書類によれば、2017年と2018年の年間収益はそれぞれ3億1,315万人民元(約46.2億円)、14億2,000万人民元(約210億円)だった。
- とりわけ、政府機関や医療業界などに提供される AI サービスの売上は、同社全体の4分の3近くを占める。
- その一方、2019年上半期の損失は52億人民元(約768億円)に達する。これは、研究開発に関する支出が理由の1つである。
- 5月、中国銀行のエクイティ部門がリードする資金調達ラウンドで7億5,000万米ドルを調達し、企業価値が40億米ドル以上となった。

背景:Megvii は Sensetime(商湯)、Yitu(依図)、Cloudwalk(雲従)など中国における AI ブームの最前線にいる数少ないスタートアップの1社である。しかし、いずれの企業もまだ株式公開に至っていない。
- これらの企業は「2030年までに中国を AI のトップランナーにする」という政府が打ち出した計画の恩恵を受けている。
- 中国では AI スタートアップの数が増えており、その多くは資本市場に目を向けている。
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