タスクマネジメントアプリのAsana、新機能「Workload」で従業員の燃え尽きを防止

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Asana のアプリ
Image Credit: Paul Sawers / VentureBeat

世界保健機関(WHO)は国際疾病分類の先日の改訂(ICD-11)で、疲労の蓄積を本格的な病状とはしなかったが、従業員の(過労やストレスによる)疲労を正式に「職業性の現象」と分類した。「疲労とは職場において適切に管理されていない慢性的なストレスの結果であると言うことができる症候群である」と WHO は述べている。

この知見を支持するものとして、アメリカの分析コンサルタント企業 Gallup は最近の研究で、アメリカのフルタイム労働者の23%は「頻繁に、もしくは常に」疲労を感じており、44%は時折感じているということを見出した。数年前のハーバード大学の別の研究では、職場のストレスはアメリカのヘルスケアのコストにおいて最大で年間1,900億米ドル、国民の総支出の8%の原因となっている。

Facebook の共同制作者 Dustin Moskovitz 氏が共同で設立したチーム・タスクマネジメントプラットフォームである Asana はこれに対処するため、チームが人的資源をもっと効率的に管理し、従業員の疲労を避けることができるように手助けを始めている。

簡単にまとめるならば、Asana は Basic(無料)、Premium、Business、Enterprise といったプランがある、フリーミアムの「ソフトウェアアズアサービス」(SaaS)モデルを運営している。基本的に Asana は個人やチームがプロジェクトを管理し共同で取り組むことができるように設計されている。ここには締め切りの割り当て、フィードバックの共有、マイルストーンのチェックやタスクの可視化、そしてチーム全体の仕事の割り振りといったことが含まれる。

Workload

6月に Asana は Business と Enterprise のサブスクリプション利用者に Workload という新機能をひっそりとロールアウトした。これは全プロジェクトの仕事を一目で見ることができ、プロジェクトマネージャーが特定のタスクを再配置したり延期したりすることができるものだ。最初のローンチではタスク数に基づいた Workload の指標を示すだけであったので、範囲がかなり限られていた。しかし8月第1週に Asana はフルバージョンについて明らかにした。フルバージョンの新たな多くのスマート機能には、時間でもポイントでもその他どんなものでも、企業が個人の全ての「がんばり」を定量化するために使いたいと思うものを指標として使えるようカスタマイズすることができる機能が含まれている。

Asana のプロダクト・ヘッドである Alex Hood 氏はこう指摘する。

最も生産性と幸福度が高いチームとは、誰が何をいつまでやっているのか、本当に透明性があるチームです。弊社が Workload を制作したのは、実際の根底にあるもの、リアルタイムな仕事と関連があるチームのキャパシティを一目で見ることができるようにするためです。

フルバージョンのロールアウトで、Workload ではユーザがキャパシティリミットを設定できるようにもなった。これは個人が事前に設定したキャパシティを仕事量が超えたときに、視覚的に警告を出すものだ。例えば、あるチームメンバーがすでに手一杯である場合、夜や週末にも働かなければならなくなるような新たなタスクが割り振られたら、警告が発せられる。

キャパシティの設定画面
Image credit: Asana

Workload は昨年 Asana がローンチした Portfolios という別のツールと連携して作動する。Portfolios は企業のプロジェクトを一目で見ることができるものだ。この2つのツールが連携することで Asana が企業用の「GPS」と呼ぶものを提供し、企業が従業員や従業員に割り振られたタスクの舵取りをし、優先順位や締め切りを変更することでリソースをより良く管理できるようにする。

Asana の新機能「Workload」
Image credit: Asana

これまでの話

Asana を設立したのは Dustin Moskovitz 氏と、Gmail チャットのような初期の Google 製品の先頭に立ち、その後 Facebook のオリジナルの「いいね」ボタン開発を推進したソフトウェアエンジニアの Justin Rosenstein 氏である。2人は2008年に Asana を始めるために Facebook を去ったが、製品はその後数年間、一般にローンチされなかった。Asana は Mark Zuckerberg 氏、Sean Parker 氏、Peter Thiel 氏を含む有力な支援者を引き付けることに成功し、最近新たに5,000万米ドルを調達して評価額は15億米ドルとなった

広範なタスクマネジメントソフトウェア市場は今日では20億米ドル相当であると言われており、多くの資金力豊かなスタートアップがパイを奪い合っている。例を挙げれば、7月第5週にチーム・タスクのマネジメントプラットフォーム Monday.com が1億5,000万米ドルを調達して評価額が19億米ドルとなり、数か月前には Mavenlink が4,800万米ドルを調達した

これらのプラットフォームはそれぞれに良い点も悪い点もあるが、向かっている目標は同じだ。ビジネスの生産性と効率性の向上である。

Hood 氏はこう付け加えた。

現代の職場はかつてないほどにコミュニケーションや協力の手段が数多くあるのですが、大部分のチームはまだ古臭いスプレッドシートや e メールに頼って、チームメンバー間の仕事の計画や管理を行っています。Workload があれば、最も重要なプロジェクトやイニシアチブが期限通りに完成するというだけではなく、最も価値あるリソースであるチームメンバーの管理を見落とすということがなくなるのです。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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