Didi(滴滴出行)、自動運転部門をスピンオフーーUberのIPO時と同じ道程をたどる

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北京本社に停車中の Didi(滴滴出行)の自動運転車
Image credit: Didi Chuxing(滴滴出行)

Didi Chuxing(滴滴出行)が5日に発表した情報によると、同社は自動運転事業を独立系企業にスピンオフした。かねてより噂されている IPO を前にして、同社事業を効率化する取り組みの一環とみられる。

重要視すべき理由:Didiでは配車や自動車関連のサービスに注力する事業再編を進めている一方で、報道によると年間110億人民元(約1,650億円)の損失を計上したと伝えられており、赤字部門をなんとか抑えようとしている。

  • 同社 CEO の Cheng Wei(程維)氏は2月に開かれた社内会議において、今年最優先とするのは配車事業で、非中核事業は削減もしくは合併の対象になるとした。同時に、社員の15%をレイオフする計画も打ち出した。
  • 同社は昨年終盤にオンライン旅行代理店の開発を延期したほか、フードデリバリ事業についてもわずか半年実施した後でサービスを休止した。

詳細情報:会社声明によると、同社 CTO の Zhang Bo(張波)氏が自動運転事業会社の CEO となり、投資企業 Shunwei Captial(順為資本)のエグゼクティブディレクターを務めていたMeng Xing(孟醒)氏が COO となる。

  • Didi は2016年に自動運転事業に進出したが、中国とアメリカで HD マッピングなど同技術の開発に200人以上の社員が従事している。
  • 同社の自動運転の取り組みは、配車事業ほどには成功していない。昨年に北京とカリフォルニアの当局から試験走行の許可を得たものの、北京の公道で78キロを走行する2台の自動運転車を開発したにすぎない。
  • Uber は今年4月にトヨタ自動車から10億米ドルの出資を受けた赤字操業の自動運転部門を切り離した翌月に株式を上場した。
  • TechNode(動点科技)は5日に Didi に対してコメントを求めたが、回答は得られていない。

新たな企業では、自動車メーカーや業界のパートナーとさらに戦略的な提携を結び、人々の日常生活で使用する自動運転技術の応用を促進していけることを楽しみにしています。(Didi CTO Zhang Bo 氏)

背景:中国企業の中で、自動運転車の開発で増加する費用の分担を外部の投資家に求めたのは、Didi が最近の事例だ。

  • フォードとフォルクスワーゲン AG は先月、電気自動車と自動運転車を共同で開発すると発表した。フォルクスワーゲン AG はフォードの自動運転部門 Argo AI に31億米ドルを出資するほか、両社では協業により莫大な費用の節約が見込まれている。
  • Apple は6月にマウンテンビューを本拠とする Drive.ai を買収した。同社は2017年に2億米ドルの時価総額をつけた自動運転スタートアップだったが、Apple による買収がなければ同月後半には廃業していたと思われる。

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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