適切な紹介料で人材紹介、採用ノウハウ提供もーーグローバル・ブレインが採用支援子会社「GBHR」設立【百合本氏インタビュー】

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2019.8.9

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スタートアップの採用支援会社設立にあたり電話取材に対応してくれた百合本氏(写真は昨年末の年次カンファレンス登壇時/Image Credit Masaru Ikeda)

ニュースサマリ:ブランド刷新に続き、独立系VCのグローバル・ブレインがスタートアップの人材採用支援に乗り出す。同社は8月9日、スタートアップの人材採用に特化した子会社GBHRを設立したことを公表した。

投資先への人材紹介を中心に、ダイレクトリクルーティングやリファラルといった採用サービスの運用代行も手がける。紹介料は市場で設定されている年収の35%前後よりも低い料率に設定される見込み。本件について、同社代表の百合本安彦氏にその詳細を伺った(太字の質問は全て筆者、回答は百合本氏)。

ベンチャーキャピタルが出資先の採用やバックオフィスなどをチームで支援するスタイルが国内でも広がっているが、それでも外部エージェントなどとの連携が中心になっている。法人まで設立して完全に内製とした理由は

百合本:スタートアップへの投資額は年々増加し現在年間約4000億円と言われていますが、企業が調達した資金はおおよそマーケティング費用か人材採用に活用されます。このことから、エコシステムの中で人材採用に係わる機能が重要であることは間違いありません。

私は2001年からスタートアップへの投資をしていますが、スタートアップに対する人材紹介市場は大きくなりました。他方でエージェント経由で入社した人材が数日で辞めるような事例もあります。

若いスタートアップのカルチャーフィットが原因とよく聞く

百合本:それもあると思いますが、それ以上に新規参入者が増えすぎた、というのが私の仮説です。大切な投資先企業にはホンモノのHRサービスを提供し成長してもらいたい。それがエコシステムの正常化でもあり、ひいてはGBとしての成長戦略のひとつとなります。

百合本さんが考えるスタートアップにとっての「ホンモノのHRサービス」とは

百合本:まず、人材紹介の世界では「年収の35%」が紹介フィーという基本的なルールがあります。勿論、大手企業の利益の中で、そういったビジネスが成立するのは良いかと思います。

ですが、スタートアップとしてはどうでしょうか?まだサービスが軌道に乗る前であり、毎月赤字な中でVCから調達した資金が数億、数十億円とあるからといっても、PLが赤なのだから削れるものなら削りたいはずです。

具体的にどのような効率化を提供する

百合本:原則、候補者獲得にかかった原価分のみを対価とする考え方です。例えば幹部クラスを年収1000万円で採用した場合、先ほどのルールであれば350万円の紹介フィーが発生しますが、GBHRの場合は30万円で済むはずです。

求職者のスカウト媒体の利用料金並みに引き下げる

百合本:価格だけではありません。スタートアップ自身が採用力をつける、という視点も重要です。

メルカリなどリファラルによる組織的な採用カルチャーを育てている事例も多くなってきた

百合本:残念ながらエージェント活用に頼り切っている会社の場合、自社に求職者をアトラクトするノウハウや候補者プールも溜まっていきません。ノウハウもプールもエージェント会社に集約されてしまうのです。そのため、自社採用方針や、ビズリーチ・Wantedlyといった採用サービスの運用代行なども当初は無料で提供する予定です。

即効性のある紹介とリファラルや採用プールなどの運用代行を組み合わせる

百合本:実はこれが一番即効性が高く、運用代行サービスの試用期間でひと月に30名以上もの優秀人材と面談設定できた実績もあります。これはGB本体でも試しましたが、比較的採用ハードルが高い弊社でも半年で既に3名採用決定が出ました。

エージェント会社の視点からいくと、スタートアップのような顧客に対して30名以上の人材を推薦できる会社はほとんどなく、仮にできたとしてもごく一部の企業に対してのみだと思います。紹介も質を求めれば量まではカバーできません。そこで、採用媒体の運用代行も必要なのです。

こういった紹介や採用媒体の運用代行のようなサービスは支援先以外にも提供する?

百合本:はい、GBの投資先を含め、すべてのスタートアップの人材採用支援の一環として展開していきます。

国内企業全体の人材流通を考えると既存ビジネスも重要だが、スタートアップに限って言えば、別のエコシステムがあった方が望ましいと

百合本:そこがポイントです。私たちは日本のスタートアップの人材採用力の底上げをしたい。勿論優秀な採用担当者がいる会社が多いですが、やはり業界全体としてまだまだ足りていません。

また、VCとしてお金以外の価値をどう出していくか、これも大きなテーマです。その一つのソリューションとしてHRを軸にしました。上質な人材紹介ビジネスを提供すると共に、更に入り込んで採用媒体の運用代行も提供する。

そもそも米国にはSequoiaやa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)のように人材採用に注力するしているVCが存在します。そのため、日本国内でも投資×HRというのはここ数年VC業界でひとつのテーマだったものの、様々な理由でそれは実現できずにいました。それを今回GBHRで実現し、日本のエコシステムに貢献できればと思います。

ありがとうございました。

話題のポイント:今年に入ってスタートアップの支援をする独立系VCの動きがいくつかありました。私も各社取材させていただいたのですが、取り組みの重要ポイントとしてみなさんが挙げていたのが「支援先の採用強化」です。

それぞれ専門のリクルーターやチームを揃えるだけでなく、一定レベルの人材については採用面接などにキャピタリスト自身も入ってカルチャーフィットを求めるなど、相当解像度の高い手法をそれぞれ編み出している印象でした。

百合本さんも言及していましたが、紹介そのものはもちろん、それ以上に「採用ノウハウのインストール」こそ、スタートアップ側が血肉にできる最高の支援なのかもしれません。

一方で、外部の人材エージェントを使ってしまうと、どうしようもなくなってしまうのが手数料の料率です。特に限られたリソースで優秀な人材を採用することが至上命題となるスタートアップにとって、高額な手数料は色々なものを圧迫しますからこの手法は確かに明快です。

国内のVCもスタートアップ同様、ものすごいスピードでアップデートがかかっているので、さらに差別化が進みそうです。

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