米Human Capable、見た目が普通のメガネとほぼ変わらない軽量ARスマートグラス「Norm」のクラウドファンディングを開始

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Norm
Image Credit: Human Capable

Human Capable は、Kickstarter で AR(拡張現実)グラスのクラウドファンディングキャンペーンを開始したが、これ自体は特に目新しいものではない。しかし、フロリダ州フォートローダーデールに本拠を置く同社によると、今回のスマートグラス「Norm」は他の AR ヘッドセットのようにかさばらず、デザインもひどくはないという。

むしろスタイリッシュかつ軽量で、使い心地も通常のメガネと変わらない。現在、Kickstarter で Norm の先行予約を受け付けており、価格は300米ドルとなっている。

Norm には、Android ベースのOSで動作するウエアラブルミニコンピュータが搭載されている。また、音声認識機能のほか、オープンイヤー方式のデュアルスピーカー、ヘッドアップディスプレイ(HUD)も搭載されている。

Human Capable の設立者である Charles Sun 氏は声明の中で次のように語っている。

スマートグラスは日常生活に大いに役立ちますが、まだまだ世の中に普及していません。普及のためには着け心地が良くて軽量、かつスタイリッシュでなければなりません。

私たちはこうした課題を克服して、Norm のデザインに落とし込みました。Norm がユーザの皆さんのお役に立てることを願っています。

Norm の重量は30~36グラムで、ヘッドアップディスプレイを搭載したスマートグラスの中でも最軽量となっているだけでなく、オーディオ機能しか搭載していないスマートグラスよりも軽い。軽量なため着け心地も良く、日常使いができるようになっている。

Norm の重量は、30〜36グラムに抑えられる見込み。
Image Credit: Human Capable

AR グラスに搭載できる光学部品や電子部品を小型化するという技術的な課題があるため、一般的なメガネと同じような見た目をしている AR グラスは現在ほとんどない。CPU、メモリ、ストレージ、バッテリー、スピーカー、マイク、カメラ、ユーザの視野にデジタル情報を表示する光学システムなど、Norm の全ての部品は、軽量なフレームの中に整然と配置されている。

にわかには信じがたいが、競合の Nreal の AR グラスでは、AR プラットフォームのコンピュータ処理部分を、スマートフォンに接続することで対応しているが、これがうまくいくかはしばらく様子を見る必要がありそうだ。

Norm の視野角は20度で、レンズ部分も十分な大きさを備えているため、フィット感を調整する必要もなく、デジタルコンテンツを気軽に利用できる。色付きレンズのほか、偏光レンズ、調光レンズ、度付きレンズに対応している。Bluetooth を介して Android または iOS を搭載したスマートフォンとペアリングすることができる。デュアルスピーカーはオープンイヤー方式になっているため、Norm から流れるオーディオを聴きながら、周囲の音も聞き取ることができる。また、スマートボリュームコントロールが搭載されているため、至近距離にいる人たちに迷惑をかけることもない。

Norm では、電話の受発信、音楽やポッドキャスト、オーディオブックの再生、メールとテキストメッセージの管理、動画と写真の撮影と表示、ソーシャルメディアの更新と確認などを行うことができる。スマートフォンと同じように、アプリを追加することで機能を拡張することができ、複数の音声プラットフォームと統合することができる。スマートフォンを持って操作しなくても、ヘッドアップディスプレイで情報の取得や共有ができるため、ハンズフリーで常に他の人とつながっていることができる。

Sun 氏は言う。

私たちのチームは人間と機械のやり取りに注力しており、皆さんの日常生活に役立つものをお届けしたいと考えています。

4年におよぶ研究開発の結果、Kickstarter から Norm をお届けできることを大変嬉しく思います。

Norm のリリース予定日は2020年1月となっている。ディスプレイはフルカラーで、フル充電で2日間使用可能だ。Sun 氏は2016年に Human Capable を設立し、2017年には最初のプロトタイプを考案した。

こんなにも小さな会社が、市場に出回っている大半の AR グラスよりも薄くて軽いものをどうやって開発できるのかを同社に質問してみた。

広報担当者から次のような回答を得た。

Norm の開発には4年の歳月をかけ、デザインを洗練させるために何度となく改善を繰り返してきました。

この4年間は、Norm の電子部品と光学部品の製造のために工場とも協力してきました。私たちは、部品サプライヤーからプリント基板/フレキシブル基盤製造業者、表面実装業者、光学部品製造業者、レンズコーティング業者など、製造工程に関わる全ての人たちと関係を築いてきました。射出成形金型のデザインを何度も行ってから組み立て工程の交渉に入りました。

Norm の開発メンバーはさまざまな業界から集められ、皆 IT 分野の深い知識を持っています。ハードウェアエンジニアとソフトウェアエンジニアをバランスよく配置し、業界経験が20年を超えるメンバーもいます。また、国をまたいだ製造工程や管理、品質保証についてさまざまな能力を持つ、ビジネスのプロや開発のプロもメンバーとして参加しています。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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