インドで拡大する「デジタル・ローン」市場に潜む投資リスクーー「Lendingkart」が新たに3000万ドルを追加調達

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ピックアップIndia’s Lendingkart raises $30M to help small businesses access working capital

ニュースサマリー:8月9日、インド全土で中小企業向けにデジタル・ローンを提供する「Lendingkart」がシリーズDラウンドにて既存投資家である「Bertelsmann India Investments」「Fullerton Financial Holdings」「India Quotient」らから計3000万ドルの資金調達を行った。

同社の累計調達額は約2億ドル規模に達しており、創業5年のスタートアップとして驚異的なスピードで拡大を続けている。6月17日の1100万ドルを調達したばかりの同社だが、今回はデットではなくエクイティでの調達になる。

・インドで爆伸びする零細向ローン「Lendingkart」ーー5年で累計調達額が1.7億ドル(180億円)に

話題のポイント:Lendingkartの特徴はビッグデータ解析とAI機械学習による与信審査です。事業者の財政状況や競合他社・市場のパフォーマンス・社会的責任・コンプライアンスなどのデータをもとに独自評価プロセスで事業者の信用を評価します。

これらの仕組みが功を奏しており、YourStoryによれば2018年の収益は3倍にまで上昇したといいます。一方、赤字も拡大していることは事実とのことですが、それを許容した上で一刻も早くマーケットから一定規模のシェアを確保しようとしています。事実インドのデジタル・レンディング市場の加熱は凄まじく、競合プレイヤーの調達ニュースもあとを絶ちません。

<参考記事>

ただし、金貸しというビジネスは借り手の信用を担保に利益が出るのを未来に先送りするモデル。そのため借り手が実際にローンを返済するまでは利益が出ている(成功している)とは言えません。

初期の投資家は返済率や貸し倒れ率などのエビデンス・データが不十分にも関わらず投資を実行しなくてはならないため、起業家やエンジニアの主張する「AI」や「アルゴリズム」、「ビッグデータ」という言葉が頼りです。

はたしてどのくらいの投資家達が、彼らのアルゴリズムが技術的に優れているのか否かを本当の意味で理解できているでしょうか。

もし信用評価プロセスに大きな欠陥があった場合や、後々サービス拡大に伴い返済能力の乏しいユーザーが増加したケース、返済率が低下していった際には赤字が回収できなくなるリスクが発生します。

一方、投資家はしばしば 「貸し出し件数は増え続けている」という成長の本質的なエビデンスとは言い難いデータを根拠に投資を継続する可能性があります。投資実行だけが先ばしっているという状況です。

既存投資家に関しては一度投資している点を加味して、新たにお金を投入したがる可能性も存在します。

貸し出し件数をさらに増加させるためにターゲットのスコープを拡大すると、それに伴い収集すべきデータやアルゴリズムも少しずつ変化させる必要があります。しかしその調整に失敗し、返済能力のない借り手に貸し出しをし始めてしまうと状況はさらに悪化します。

危うさを感じる上記のようなサイクルは、上手くいけばいち早くマーケット・シェアをとり、赤字を後々で解消するという一般的な戦略として成立します。ところが逆のケースに陥る可能性も0ではないでしょう。激化する競争市場において、ユーザー数増加のための焦った成長戦略を描くと陥る罠だと言えます。

中国でP2Pレンディングがブームになった際、多くの業者が返済能力のない借り手に貸し出しをし続け、多くの大量の焦げ付きを抱えた業者が廃業して社会問題となりました。

大半のインドのレンディング業者に言えることですが、短期間で多額の資金調達を行い、多数の貸し出しを実施しているLendingkartであっても今後何が起こるかはわかりません。

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