中国のEVスタートアップNIO(蔚来)、資金繰り悪化で従業員を大量解雇——レーシングチームも売却へ

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Image credit: NIO(蔚来)

中国の電気自動車(EV)メーカー Nio(蔚来)が資金繰りの悪化に対処するため、研究開発およびマーケティングを担当する従業員を最大40%削減すると報じられた。また、所有するフォーミュラ E のレーシングチームも売却する予定だという。

重要視すべき理由: Nioは第1四半期の出荷台数の減少にともなう収益の減少を報告。その後、破綻を食い止めるため一連の対策が講じられ、国営投資家からの資金調達で100億人民元(約1,500億円)を調達した

  • 最初の商用モデルである ES8 SUV 関連のバッテリー発火事件によって大きな打撃を受けた。6月下旬、大規模なリコールを実施し、4,800台以上に搭載されたバッテリーパックを交換した。
  • 第2四半期は、前期比でさらに20〜30%ほど収益が減少すると予想している

8月2日の夜、Nio の広報担当は40%の人員削減を否定したが、詳細なコメントを避けた。同社社長であるQin Lihong(秦力洪)氏は、中国のメディア 36Kr に対し「業務の効率化を図るため再構築を行っているが、大量解雇の報道は真実ではない」と述べた。

詳細情報:報じられた人員削減は、中国国内の研究開発・マーケティングを含む多くの部署だけでなく、海外の部署にも影響を与えるという。

  • 一部の部署ではすでに30%の人員削減が行われており、総従業員数は14%減の約8,400人にまで減少した。
  • 4月には海外拠点を縮小し、2つあるシリコンバレーのオフィスから70人の従業員を削減。また、サンフランシスコにある2つのオフィスのうち1つは閉鎖された。
  • 以前、NextEV として知られていた フォーミュラ E チーム「Nio」を、上海のレーシング会社 Lisheng(力盛)に売却し、資金を回収した。Nio チームはデビューシーズンである2015年に FIA フォーミュラ E 選手権で優勝し、一躍有名となった。

背景:中国のEV市場は、Tesla による上海でのギガファクトリー建設がほぼ完了し、新たな競争時代の到来に直面している。

  • アメリカの EV 大手である Tesla は先月、今年末までに上海で Model 3 の生産を開始する予定であると述べた。中国生産の Tesla モデルは、アメリカ生産よりも最低50%安くなるという。
  • 2016年の創業以来、Nio は200億人民元(約3,000億円)を超える純損失を計上している。それに加え、2四半期連続で出荷台数が半分以上減少し、6月末は3,553台となった。

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【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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