シンガポールのQiq Global、スーパーキャパシタでバイクシェアリングの充電問題解決を目指す——将来は、トークン報酬で交通インフラの共有も

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Qiq Global がしていることを一言で表現することは難しいが、あえて言うなら、シンガポールに拠点を置く同社は未来の交通ネットワークを作ろうとしている。

「そういうスタートアップはもうすでに山のようにあるのでは?」と言いたくなるかもしれないが、聞いてほしい。

電動スクーターのシェアリングサービスのようなシェアリング交通ネットワークは、バッテリーという巨大なボトルネックで身動きが取れなくなっている。Qiq はこの問題を乗り越える方法を見つけたというのだ。

Image: Qiq

リチウムイオンバッテリーは大量のエネルギーを蓄えることができ、一定時間持続的に電力を必要とするものには理想的だ。しかしながら、この能力と引き換えに欠点もある。電力を蓄える能力はすぐに低下し、また充電には数時間かかるという点である。

もちろんリチウムイオンバッテリーはスマートフォンにはうってつけだ。なにしろ普段スマートフォンはアイドリング状態であり、一般的に言って1日に多くても数回の充電で済む。また数年ごとにデバイスを買い替えることが多いので、バッテリーの寿命が短いことも問題ではない。

同様に電気自動車も多くの時間は動いていないので、そのバッテリーについて同じことが言える。

しかし交通の本質は急速に発展している。配車サービス企業の Gojek と Grab は東南アジアでシェアリング交通時代の到来を告げており、シンガポールとジャカルタでスクーターシェアリングサービスもローンチしている。

これらの新たなモデルは乗り物の使われ方を根本的に変えている。もはやその持ち主を家や職場といったいつもの目的地への行き来で運ぶだけではない。代わりに、乗り物は複数の人を乗せてさまざまな場所に向けて24時間ずっと路上を走っているのだ。

このような使い方では電動の乗り物のバッテリー寿命はすぐに尽きてしまい、コストを増大させる。長い充電時間も、1日のかなりの時間稼働できないということを意味する。

この問題に対する答えはスーパーキャパシタであると Qiq は考えている。

Image: Qiq

バッテリーと同様に、スーパーキャパシタは電力を蓄えるデバイスである。一般的に、蓄えることができるエネルギーの量は少ないが、代わりに高い出力密度を持ち、つまり1度に放出できる電力が大きいということだ。

そのためスーパーキャパシタはハイブリッドな乗り物の始動に使われている。短時間の爆発的な力を発生させるのに適しているのだ。充電の時間も短くて済み、寿命も長い。

もちろんそれを交通目的に使用している企業は Qiq だけではない。今年2月に2億1,800万米ドルで Tesla に買収された Maxwell Technologies はこの界隈の大手だ。

しかし Maxwell が出力に注力している一方で、Qiq はスーパーキャパシタのユニークな扱い方でエネルギーと出力密度のバランスを取っているとしている。

その結果、Qiq のスーパーキャパシタは同等のリチウムイオンバッテリーよりも20倍長持ちし(充電サイクル5万回に対し2,500回)、7分間で100%充電できる(リチウムイオンバッテリーは2時間)。また稼働可能な温度の幅も広い。

しかしながら Qiq が提供しているのはバッテリーだけではない。同社の特殊なスーパーキャパシタならびに充電を行うドックステーションを使用するスクーターや自転車の設計を行っている。またこれらの乗り物用に交通ネットワークを管理するソフトウェアも開発している。

これらの技術の組み合わせによって、安価で環境に優しくどこででも使えて、維持が楽で真夜中まで問題なく運営できる交通ネットワークが約束される。

Qiq の共同設立者兼 CEO の Justin Sim 氏はこう指摘する。

列車でも毎日24時間の運行はできません。

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経済を快適に

Qiq の COO である Dalston Pung 氏は同社のユニットエコノミクスに持続性があるとし、その理由の一部として車両が使われない際には特別なドックにとめなければいけないという点を挙げている。このアプローチは、e スクータービジネスが扱わなければならない比較的インフラに頼らないドックレスのフォーマットを避けるものである。

ドックレスなシェアリング交通モデルはマージンが非常に低いと強く主張する者もいるが、多くの上手くいかないユニットエコノミクスはスクーターや自転車を収集したり充電したりするコストのためだということができる。

例えば、アメリカで運営している Bird はスクーター1台につき「充電」に3~20米ドルを支払っている

Qiq が前もって払わなければならない乗り物やインフラのコストは比較的高いが、ユーザは指定された場所に車両を返却しなければならないため、ドックのネットワークは安価であると Pung 氏は論じる。

Image: Qiq

チームは近い将来に向けたさらなる計画も持っている。Qiq の姉妹会社である B Robotics はパートナー企業と協力し品物を運ぶための自動運転車を開発している。現時点では人を運ぶことは避けているが、これには乗客の安全性の確保といった多くの問題が付随するためだ。

Qiq ではブロックチェーンのユースケースも準備中だ。本質的には、誰でも自分が使う交通インフラを共同所有するようになることを同社は望んでいる。好ましい行いをしたユーザにはトークンで報酬を与えることで、おそらく同社は持続可能性が高い交通ネットワークを作るものと思われる。

しかしこの理論はすぐにテストされるものではない。Qiq はこのプロジェクトのプロトタイプを数ヶ月かけて作っているが、ブロックチェーンのトークン価格の変動性を含むさまざまな理由のために延期が続いている。

弊社は交通ネットワークの一部所有というものに対して、市場がそこまで素早く受け入れる準備ができているとは考えていません。

Pung 氏はこのように付け加えた。しかしながら設立者らはまだこのコンセプトを信じており、時期が来たら復活させるつもりでいる。

ガソリンスタンドとの競合

小さなチームのスタートアップにとって、これら全てというのは大変な仕事のようにも見える。親会社の Shado と B Robotics を合わせて、Qiq の従業員は50人ちょっとだ。

少し前まで Shado は主に ST Engineering や港湾管理会社 PSA International のようなシンガポールの組織向けの政府関連プロジェクトを手がけるコントラクトエンジニアリング企業だった。

今では、Qiq は自らを Grab のような運営に注力する企業ではなく、テック企業だと見ている。

確かに同社はベトナムでドック交通システムを運営しており、間もなく日本でも始める予定だが、同社はこれらのネットワークを直接管理しようとはしておらず、現地のパートナーによる所有・運営を見込んでいる。

代わりに、Qiq はそういった相手に向けてバッテリーや充電技術の供給者となるのだ。また技術のライセンスや、その技術に基づいて作られた製品の販売で利益を上げることも考えている。

製造能力を拡大させるために、同社は8月に中国の自動車メーカーから2,000万米ドルを調達し、150万米ドルのシードラウンドに加えるつもりだ。この収入の一部は Qiq が受け取るが、残りは同社が中国でパートナーと共同所有するスーパーキャパシタ工場建設へと向けられる。

Qiq はどこででも乗れる環境に優しい交通ネットワークが同社の技術に基づいて運営されるという未来を夢見ている。Pung 氏はこう明かした。

弊社はガソリンスタンドと競合する次世代の大手プレイヤーになりたいのです。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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