旅するように働く時代はすぐそこにーーデジタルノマドのための医療保険「SafetyWing」が350万ドルを調達

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ピックアップ:SafetyWing raises $3.5M seed to offer medical insurance to ‘digital nomads’

ニュースサマリ:デジタルノマドのための医療保険を提供するスタートアップSafetyWingは、8月1日、byFoundersやDG Incubationから350万ドルを調達した。同社はデジタルノマドのためのセーフティーネットを構築すべく、医療保険などを提供しているノルウェー出身のスタートアップで、Y Combinatorを卒業したばかりだ。

同社が目指しているのは、国境を超えて働く人に対して本来国単位で提供される保険などの社会保障を提供することである。特にアメリカ出身の起業家やリモートワーカーの中で、タイやコロンビア、メキシコなどの生活コストが低い国に住みながら働く人を想定しているという。現在販売している保険商品としては、旅行保険と医療保険が含まれたパッケージで保険料が4週間で37ドルになっている。

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Nomad List

話題のポイント:元々特定の拠点を持たずリモートワーク中心に働く人のことをノマドと呼びます。デジタルノマドはより自由度高くPCとネット環境さえあれば、国境を超えて旅しながら働く人のことです。モバイル機器やクラウド環境の充実はこのような自由な働き方を推し進めています。

2015年に開かれたDNX Conference(デジタルノマドカンファレンス)では、2035年までにデジタルノマドは10億人に増えるとの予測が発表されました。この背景にはいくつかの社会的、技術的変化があります。

<参考記事>

既にアメリカではフリーランスの割合が半分近くに達しており、企業に雇用されない働き方はスタンダードになりつつあります。さらにスマホのインターネットの速度は4Gから5G、6Gへと高速化の一途をたどっており、大都市でなくとも世界中のあらゆる場所で快適なモバイルインターネット環境を実現できます。

また社会的な現象としては婚姻やマイハウスといった、伝統的に価値があると考えられていた慣習に対する価値観が変化してきたことも挙げられます。以下のように2035年には欧米での婚姻率は40%未満にまで減少するという予測もあります。

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“There will be 1 billion digital nomads by 2035”より)

また航空券の価格や各国間の所要時間の現象も重要です。例えばベルリンーロンドン間のフライトは現在はおよそ2時間の所要時間で75ドルですが、30分の所要時間で20ドルの価格になるという予測もあります。

最近は日本でもフリーランスやリモートワークの社会的な普及が進みました。一方で上述した背景は日本においても同様に働くため、この潮流を更に推し進め国境を超えて働くスタイルも広まる可能性があります。ビジネスとしては旅行関係のサービスのバリエーションとして、現地で働いて収入を得るというスタイルを支えるサービスが本格的に出てくるかもしれません。

今回紹介した保険サービスだけではなく、NomadListというサービスではデジタルノマドが旅先を選ぶためのプラットフォームサービスも展開されています。同サービスでは数多の旅行ガイドサービスとは異なり、コワーキングスペース情報など各国で働くことを前提にしたガイドが特徴的です。(執筆:矢部立也

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