
CC BY-SA 4.0: Jengtingchen via Wikimedia
中国の EV メーカー Singulato(奇点)は、自動車エンジニアの CTO として日本人のシャシー専門家である宇野高明氏を起用した。同社では年内に初の商用 SUVモデル「iS6」の市場投入を目指しているところだ。
重要視すべき理由:宇野氏は Singulato において、他の多くの EV スタートアップが成し得なかったことに挑む任務を与えられた。それは消費者に自動車を届けることだ。iS6 の出荷は当初2018年とされたが、延期を重ねて今年末になっていた。
- 中国で登録されている500社以上のEV メーカーのうち、自動車モデルを提供できたのは、Nio(蔚来)、Xpeng(小鵬)、WM Motor(威馬)など一握りにすぎない。
- 自動車を市場投入したメーカーであっても状況は厳しい。Nio は3か月以内に別々の場所で3台の旗艦モデル「ES8 SUV」が火を噴いて大規模なリコール問題に発展した。
- 30日に Singulato がTechNodeに提供した声明によると、iS6モデルの出荷は基本的に1年以上前からできるようになっているが、市場投入は急がず、優れた製品を提供すべく他の自動車メーカーからの教訓を学ぶことにした。
Singulato の自動車エンジニアリング CTO 宇野高明氏は声明の中で次のように述べた。
中国は世界最大の自動車市場であり、既存の自動車において電動化とインテリジェントの革命に向けた準備が最も整っています。この地で新たなスタートを切り、Singulato と共に次世代自律電気自動車の開発に取り組めることを光栄に思います。

詳細情報:同社は7月29日、宇野氏が自動車の研究開発に全面関与し、CEOの Shen Haiyin(沈海寅)氏にレポーティングすると発表した。
- 宇野氏は日産自動車で30年間勤務し、ダイナミックシステムの研究開発グループを率いてシャシーやボディパーツなどの製品開発をリードしてきた。また、2004年に日産からリリースされたセダンモデルのティーダの開発にも関わった。
- 自動車業界に長く関わる同氏は Singulato に入社する前、Bosch Japan でシャシー開発のエグゼクティブディレクター、そして日本の EV スタートアップであるアセンブルポイント でパートナーを務めた。
- Singulato のバイスプレジデントである Zhao Qiang(趙強)氏は今年の上海自動車ショーで、年内に自動車を市場に提供すると発言していた。
背景:競争の激しい中国の EV セクターにあって、設立間もない企業に参画する日本人の自動車専門家は宇野氏が初めてではない。
- 今年初め、広州を本拠とするXpeng Motors は宮下善次氏を起用した。同氏は以前、GAC Toyota Motor(広汽豊田)で品質マネジメントを統括していた。入社後はシニアディレクターとして製品品質を担当する。
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