小売店舗用レジ無人化のStandard Cognition、シリーズBラウンドで3,500万米ドル調達——日本でPALTACが運営する3,000店舗にも導入へ

SHARE:
サンフランシスコにある実証店舗 Standard Market には、Standard Cognition の AI レジ無人化システムが導入されている。
Image credit: Standard Cognition

Standard Cognition のようなスタートアップのおかげで、レジでの精算が不要になる日が思ったよりも早く来るかもしれない。サンフランシスコを拠点とする Standard Cognition の特許取得済みのプラットフォームは、カメラやアルゴリズムを活用し、顧客が商品を選んでいる間に購入情報を記録する。同社は、昨年11月にシリーズ A ラウンドで4,000万米ドルを獲得したほか、パートナーシップを結んだ日本の PALTAC の店舗3,000ヶ所で自動精算ソリューションを展開する予定だ。さらにこれらの成果を収めた直後に、EQT Ventures がリードし既存投資家の Initialized Capital、CRV、Y Combinator が参加したシリーズ B ラウンドで、3,500万米ドルを獲得している。

新しく獲得した資金により、Standard Cognition がこれまでに調達した資金額の合計は8,600万米ドルを超え、ポストマネー評価額は5億3,500万米ドルになった。CEO の Jordan Fisher 氏によると、2018年11月時点での評価額の倍を超える額で、Standard Cognition は自社チームと地理的な進出範囲を共に拡大しつつ、「アメリカと日本の初期の顧客に対し成果をもたらし続けることに焦点を当てる」ことができるという。

米証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission、SEC)出身の5人を含む6人の共同設立者と共に、2017年に Standard Cognition を設立した Fisher 氏は以下のように語った。

私たちは、EQT Ventures チームとは本当に相性が良く、彼らと一緒に成長の次の段階へと足を踏み出すことができ、非常にワクワクしています。

Standard Cognition による顧客への初期展開は迅速に進められており、今後数か月の間に、グローバルリテーラーと進めているビジネスについて詳細をお話できるでしょう。彼らからのフィードバックによると、設置面積が狭くて済むこと、ハードウェアコストが低いこと、素早く設置が可能なことが、Standard Cognition が選ばれる主な理由だということです。

Amazon Go と同様、Standard Cognition の場合も陳列棚から取り上げられた商品が請求書に追加され、買い物客が出口を出る時に自動的に客のアカウントに請求される。同システムは、例えば買い物客が購入しようとした商品を戻した時などの誤りに対応したり、データを匿名化することで客の購入パターンを狙った過剰な情報収集を行うブランドやリテーラーがもたらすリスクを最小限に抑えたりする。

また万引きも防止する。Standard Cognition の AI は、軌跡、足取り、凝視、スピードといった人の動きから盗難の兆候を認識し、その全てについてテキストメッセージ経由で店員に注意を促す。そういった動きを学ばせるのは容易ではなかった。偽の店を用意し100人の役者に「数時間」買い物をしてもらい、サンプルデータを集めたのだ。しかしその精度は99%以上と高い。

8月に Zippin がサンフランシスコ初のキャッシャーレス(レジなし)ストアを開店し、Standard Cognition はその直後の9月に2店舗目となるキャッシャーレスストアを開店した。マーケット・ストリート1071番地(1071 Market Street)にある1,900平方フィートの店舗にはチェックインゲートがない。Standard Checkout アプリを使ってチェックインすれば買い物が始められる。また天井には多数のカメラが設置されており、それぞれが推論(inference)を実行するネットワーク化された機器につながっている。現在同店舗では、菓子類、日用品、掃除用品などが販売されているが、今後徐々に在庫品目を増やしていく予定だ。

この店舗は、機能を紹介するショールームのような形で展開されている。Standard Cognition は、匿名化された同店舗のデータを取得し自社のアルゴリズムの改善に役立てているほか、見込みのあるリテールパートナーには同店舗で実演を行ってみせたりもする。Fisher 氏によると、何百ものリテーラーが同社のテクノロジーを評価中で、すでに取引に署名したリテーラーも複数あるという。またそのうちの2社は複数店舗で展開予定で、稼働開始日は今年の第3四半期と第4四半期に予定されているという。同社は以前、2020年までに1日に100店舗で自社プラットフォームを展開する予定だと述べている。

Standard Cognition と真っ向から競合する Trigo Vision は、最近イスラエルのスーパーマーケットチェーン Shufersal と272か所のレジなし店舗を展開する契約を結んでいる。また Tesco や、昨年8月にサンフランシスコ初のレジなし店舗を開店した Zippin と、パートナーシップを結ぶ協議を行っているとも伝えられている。そして言うまでもなく、Pandora の共同設立者 Will Glaser 氏による Grabango もある。同社は今年、実店舗における「待ち時間なし」ペイメントエクスペリエンスの試験運用を、Giant Eagle の店舗にて開始している。そして誰もが見て見ぬ振りをしているのが Amazon の存在だ。アメリカ各地に展開されている同社の Amazon Go 店舗では、センサー、AI、スマートフォンを活用し、購入の流れを簡素化している。さらに、Microsoft でさえもレジなし店舗テクノロジーに取り組んでいるという。

このような競合状態にも関わらず、EQT Ventures のパートナー Alastair Mitchell 氏は、Standard Cognition の勢いには自走力があると確信している。いずれにせよ、1月の Explorer.ai 買収が、同社のプラットフォームの強化につながるのは間違いないだろう。7人で構成されるコンピュータビジョンスタートアップである同社のテクノロジーは、大規模店舗のマッピングにかかる時間を数時間から数分へと短縮するものだ。

Mitchell 氏は次のように語った。

従来の実店舗型リテーラーは最悪の状況に見舞われています。市場の隅々まで侵入する Amazon のような巨大企業から消費者意識の変化に至るまで、多忙な人々がこれまで以上に効率的なショッピングエクスペリエンスを求める中、利益はかつてないほど圧迫されています。

全ての規模の実店舗型リテーラーがこういった課題に対処できるのは、才能と意欲を持つ Standard Cognition チームが迅速に作り上げた製品のおかげです。優れた実績、高度にスマートなテクノロジー、そして将来的な拡大に対する大胆な熱意を持つ Standard Cognition は、特にアメリカ企業のヨーロッパ参入を後押しするという当社の目標を考えると、当社にとって非常にエキサイティングな投資対象です。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

----------[AD]----------