「自分がハッピーなこと」と「人をハッピーにさせること」だけの世界を作るーーU25起業家に聞く「起業・新基準」/にじさんじ「いちから」代表、田角さん

image_5
いちから代表取締役の田角陸さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のバーチャルYouTuber(VTuber)「ミライアカリ」所属のZIZAI代表取締役、塚本大地さんに続いてこちらもVTuber「にじさんじ」を運営するいちから代表取締役の田角陸さんです。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

image_1.jpg

田角陸さん:1996年生まれ。早稲田大学基幹理工学部表現工学科卒業。ガイアックスで長期のマーケティングインターンに従事した後、すぐに大学を休学し2017年5月にいちからを創業。VTuber/バーチャルライバー事業、にじさんじプロジェクトを運営するほか、VRを活用したバーチャル世界キャラクターとの双方向コミュニケーションサービス「ユメノグラフィア」などの新規事業も手がける

image_2

8月末に大型増資の公表されましたね。グローバル展開に新規事業と盛りだくさん

田角:世界中に「魔法のような、新体験を」届ける、グローバル×エンタメテック企業を目指して、日本のVTuber業界を次のフェーズへレベルアップさせたいですね。新規事業の「ユメノグラフィア」もこれから一気に加速させるつもりで積極採用中です!

事業の証明ができたらどこも次の課題は採用ですもんね。ところでこの連載ではU25の起業家の方を中心に新しい経営のスタイルをお聞きしています。田角さんはいつ頃から起業とかスタートアップに興味を持ち始めたんですか?

田角:高校生の時からですかね。会社の代表になりたいな、という考えみたいなのは漠然とはありましたね。あと、私、早慶志望だったんですけど、そこ出身の有名人を見ると、例えば村上太一さんなど、起業家がとても多かったんです。それでさらに興味や憧れを掻き立てられましたね。

早稲田時代にはインターンや起業家養成講座とかも参加されていたとか

田角:ガイアックス子会社の新規事業部で、田舎体験をしたい若者と田舎に住む人たちのマッチングサービス「TABICA」というサービスに参加していました。そのインターンではマーケティングを主に担当し、新規ユーザーのリピート率を向上するための施策を考えていました。

一方、大学進学後にインターンで色々なことを経験していくと、この状況を続けても社長業を学ぶことは難しいなと感じるようにもなりました。じゃあ、自分が社長になることが一番の学びになるんじゃないか、と。

なるほど、実践的だ

田角:あと、早稲田の起業家講座で当時すでに自分で会社をやっている人たちと自分との差を感じたっていうのもありました。もうこれはやらないとダメだと思って起業に踏み切ることとなりました。

周囲の影響・環境ってやっぱり大事ですよね。会う人を変えないと自分って変わらないというか。当時はどのような事業を展開していましたか?

田角:そうですね、事業を作っていたというよりは、プロダクトモックを作って投資家にピッチしたり、実際にβ版をローンチしていたりしました。

具体的にどういうテーマだったんですか

田角:動画やAR広告、スキルシェアなどの領域ですね。

そこからVTuber事業にピボットするわけですが、何をきっかけにそこに進んだんですか

田角:何回か投資家のみなさんにフィードバックをもらったんですね。プロダクトを作るというPDCAをまわす中で、「風が吹いたら豚でも飛べる」ではないですけど、トレンドに乗っていることの重要性は結構感じていました。瞬間最大風速がデカイ領域は、やっぱりアップサイドも伸びの速さも違ってきます。その中ですね、VTuber系の事業を検討するようになったのは。

トレンドをうまく掴んだ

田角:ただ、トレンドに乗る中にもロジックがあります。ここに乗りやすいのは、大企業の大きな動きでトレンドの波が作られたり、そのスキマができたりする瞬間なんです。この隙間を狙っていくことが大切だと思っています。

元々ここに興味があった?

田角:最初はこの領域に特に詳しいというほどではありませんでしたが、やはり大きな可能性は感じていました。そんなある日、モックぐらいの状態でプレスを出したんです。そしたらそれが結構世の中のみなさんに受け入れられて、評判がとても良かったんです。

それに「VTuber」という存在が世の中に出てきて積極的に発信し始めるタイミングが重なったのも大きかったです。よし、もうこの事業でいこうと思いました。

image_3.jpg

ちょっと話を変えて。田角さんは事業仮説に関して何かフレームワーク的なものをお持ちですか

田角:エグゼキューションしたいけど、トライ数が増やせない(後戻りできないもの)はしっかりと情報収集や思考した後に命中率をあげるべきですね。逆に、エグゼキューションしたいけど、情報や確証性が少なく、命中率が低いものはトライ数を増やす仕組みを作り、徐々に命中率を上げる(仮説検証の蓋を開ける)これに限ると思います。

トライ数×命中率=エグゼキューションというのは、田角さん自身の打ち手の多さからきているものなのでしょうか?

田角:そうです。トライ数を上げて、投資家の方々から適切なフィードバックを受け、それを元にヒット率をあげるということをしてきました。トライ数をあげると、きちんとしたフィードバックのもとでは命中率も自ずと上がる、その中からヒットが生まれると思っています。

ちなみにVTuber事業ではどういう事業仮説を立てたんですか

田角:「人を魅力し、人を集められるのは、人の力」です。VTuber事業をやるにあたって、プラットホーム(VTuberのライブ配信PF)として事業を伸ばすのではなく、個人の力を性善説的に信じた仕組み(VTuberマネジメント)にしたところ、PFを問わず活躍するVTuberをマネジメントすることができました。

image_4.jpg

なるほど、ところで田角さんってこの連載にも出てくれたZIZAIの塚本大地さんとも同世代ですよね。こういった横のつながりや意識とかってあるんですか

田角:あまりつるんだりはしないですし、同世代を意識というのはないですね。ただ、エグゼキューションの面で塚本さんやイチナナキログラム(17kg)COO、秋山(洋晃)さんの取り組みは拝見しています。

お二人はトライ数のところが半端ないと思っています。特に秋山さんは命中率が際立っているなと。仮説を立て、その命中率が異常に高く、そのためにエグゼキューションを徹底しているところをとても尊敬しています。それぞれ得意分野は違いますが、かなり色々と学ばせてもらっています。

田角さんが事業をやってる源泉ってどこにあるんですか

田角:近い将来、AI(人工知能)や関連するテクノロジーによる自動化が急速に普及し、今、人間がしている仕事がどんどん減っていくと思っています。そんな未来で人間がすべき仕事は、「人を楽しませること」なんですよね。

つまりはエンタメこそが人間の仕事だと思っています。僕らはいちからに関わるメンバーで「自分がハッピーなこと」と「人をハッピーにさせること」だけをする世界を作りたい。これが僕のモチベーションです。

いつぐらいからそういう考えになったんですか

田角:エンタメの領域に参入した時からです。今いる社員やメンバー、ユーザーの中で自分たちが作った事業に励まされているという声を聞いた時に、幸福を感じたんです。

それをきっかけに、人をハッピーさせることとそれによって自分がハッピーなことを会社では追求したいと徐々に思うようになりました。

最後に一点、田角さん自身の、今後の目指す方向や、どうありたいかなどについてお話を聞かせてください

田角:自分の幸せって変化率だと基本的には思っています。それは、昨日より今日、去年より今年の自分の方がすごかった、成長していたという変化方を無限に続けていくことでしか幸せになれないのかなと思っています。だからこそ、常にその変化率を意識したいですね。

ありがとうございました!

----------[AD]----------