小売業に革命を起こすAI SaaS「Daisy Intelligence」が750万ドル調達ーー小売にAIを活用する3つの視点

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ピックアップ:Canadian AI startup Daisy Intelligence secures $7.5 million in funding to scale its AI platform

ニュースサマリ:9月20日、カナダのAIスタートアップ「Daisy Intelligence」はシリーズAにて750万ドルの資金調達を実施した。トロントに拠点を置くFramework Venture Partnersがリード投資家を務めた。

Daisy Intelligenceは2003年に創業し、小売取引データをプロモーション、価格設定、在庫予測に活用する小売業特化型のAIソフトウェアを開発している。同社によればクラアント企業の売上が前年比で2.9%増加したとのこと。

クライアント地域は米国、カナダ、ラテンアメリカ、ヨーロッパへと広がっており、収益や従業員数も急速に増加させている。

話題のポイント:小売業におけるAI活用の期待は高まっています。2017年に発表された米国MarketsandMarketsの調査では、小売業向けAIの市場規模は2017年の9.93億ドルから、2022年には50.34億ドルの規模にまで成長すると予測されています。

小売店が保有する膨大な顧客データは購買情報の分析から商品のパーソナライズ提案まで応用可能。加えて出店戦略にも関わる商圏分析や天候、マクロの経済指標など、購買活動へ影響を及ぶデータは多岐に渡り、様々なデータを理解する必要があります。

また、Amazon Goに代表される無人店舗やニューリテール領域のように、店内カメラ映像とECサイトの購買履歴の両方を分析する必要性が増している一方、エンジニアの絶対数が足りていない課題感があります。こうした市場需要と人材供給のミスマッチが小売業向けAI市場を急成長させている要因と考えられます。

そこでDaisy Intelligenceは大きく3つの提供価値を持っています。

1つはプロモーション製品の選択です。小売業の世界ではプロダクトミックスという概念があります。企業の利益最大化と効率化の観点から製品の幅(製品系列)、深さ(バリエーション)、長さ(製品品目)、一貫性(前日やチャネルの関連性)を決定していきます。この決定をデータドリブンに行う支援を行っています。

2つ目に価格の決定。値下げする製品やプロモーション用の製品も合わせて製品全体から見て最適な価格設定をして利益の最大化を目指します。

最後に需要予測が挙げられます。在庫切れと過剰在庫を避けるため、適切な在庫量を適切な店舗に配置する提案を行います。

元来、利益率が低く、大規模な設備投資や人材採用が難しい小売業界であるだけに、上記のような売上や利益に直結する部分からSaaS型のソリューションを導入していくことが求められるでしょう。そこに目をつけたのがDaisy Intelligenceなのです。(執筆:矢部立也

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