アフリカ大陸がフィンテックに踊る理由

by souta watanabe souta watanabe on 2019.9.29

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ピックアップFairMoney raises $11 million for its challenger bank for emerging markets

ニュースサマリー:フランス発、スマホを通じて手軽に借りられる少額ローン・サービスをナイジェリア市場で提供する「Fair Money」がシリーズAラウンドにて、DST GlobalのパートナーであるFlourrish Venturesをリードに1,000万ユーロ(約1,200万円)を調達した。

Fair Moneyはナイジェリアのラゴスを拠点に、創業から2年という短い期間にも関わらず累計40万件以上の貸し出しを実施している。

ユーザーへの簡単な質問や財務状況、スマホアプリの利用情報、位置情報の取得を通して与信審査を行う。誰でも最初は33ドル(約3,500円)までしか借りることができないが、返済を完了する度に限度額が上昇し、最大で415ドル(約45,000円)まで借りることができるようになる。金利は個人により異なるが最大でも13%に設定されている。

ナイジェリアの首都ラゴスの通り
Image credit: Jordi Clave Garsot

話題のポイント:国連の統計によれば、現在12億人規模にまで膨らんでいるアフリカ大陸の人口は2050年までに倍増し25億人規模になるといいます。特にサハラ砂漠以南の人口成長は顕著。

特にケニアとナイジェリア2カ国のフィンテック市場は真逆の特徴を持っています。国の金融インフラの発展度合いによって、各国で活躍する金融スタートアップの戦略に大きな違いが生まれているのです。

既存金融が未発達なケニアのような国は、銀行から独立して自社サービスを成長させるスタンスが求められます。一方、ナイジェリアはある程度金融インフラが整っているため、既存金融機関と提携する方がスタートアップにとってメリットが大きいのです。ここからはケニアとナイジェリアのフィンテックスタートアップの事例に軽く触れたいと思います。

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まずはケニアから。最初に紹介するのが同国で普及しているM-PESA。国民の70%以上が利用するモバイル・電子マネーサービスです。出稼ぎ労働者による家族への送金を簡易化する手段として開発されました。

ケニアでは多くの出稼ぎ労働者がいるものの、銀行サービスがローカル地域に及んでいなかったり、そもそも家族が銀行口座を持っていないという理由から、モバイルで簡単に送金できるM-PESAの需要が高まりました。

現在では決済・送金の他にも預金やマイクロレンディングなどのサービスも展開しており、今や銀行口座保有率の低いケニアの生活インフラとなっています。

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FarmDriveというケニアのスタートアップは、機械学習に基づいて農業データを収集・分析することで与信調査を行い、農家へマイクロファイナンスを提供。同社のようなスタートアップが誕生する理由は、アフリカ独特の産業構造と市場課題を背景としています。

アフリカ人口の60%は農村に住んでおり、農業従事者であるとされています。この点からアフリカ経済は農業に大きく依存していると言えます。しかし課題が2つ。1つは農家が銀行口座を持っていない点。もう1つは銀行が与信を的確に行う技術力がなく、レンディング事業を提供できない市場環境。

上記の理由から、ケニアの農業地域では必然的にFarmDriveのような、機械学習で信用調査を行い、ローンを提供するフィンテック・サービスへの需要が生まれているのです。

M-PESAやFarmDriveはいずれも既存金融機関が手の及ばない領域を開拓しています。それほどケニアは金融インフラが整っておらず、スタートアップが自ら開拓していく必要性があります。

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次にナイジェリア。本記事で紹介したFair Moneyがまさに当てはまります。

ナイジェリアは2018年時点で銀行口座保有率は約50%。その利用率の低さは否めませんが、他のアフリカ諸国に比べると銀行システムが整っている方です。そのためFair Moneyは銀行と提携することで、外部金融機関ユーザーの預金に流動性を与える少額ローンプラットホームとして機能しています。

2017年から2018年の間で、ナイジェリアの銀行口座保有率は7.5%ほど上昇しており、国は2020年内にその割合を80%まで引き上げることを目標としています。この割合が着実に成長すれば、Fair Moneyの利用者も増加することは間違いありません。一方で、同社は貸金業ライセンスを既に持っているため、今後銀行から独立する可能性もあります。

Fair Moneyの例から、ナイジェリアはケニアとは違い、自社サービスのみで成長を目指すより外部と連携した方が賢明な戦略である事が伺い知れます。

一方、2国間のフィンテック市場の共通も1点挙げられます。それは経済的な不安定さを理由に、銀行を代表とする金融インフラへとアクセスできない人たちを支援する「金融包摂(きんゆうほうせつ)」という理念を基にしたサービスが多い点です。

先述したように、ケニアでは銀行口座未保有・ローカル地域における銀行の少なさに悩むユーザーに対してスマホによる送金サービスが登場。ナイジェリアでは与信能力の低さに悩むユーザーに対して機械学習を通じてマイクロファナンスの提供を可能にした事例を紹介しました。

このように金融サービスへのアクセスビリティーを高める需要が増大していることがわかります。

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さて、上のグラフはアフリカのスタートアップの投資額を表したものです。2017に比べ、2018年の投資額は2倍を超えているのがわかります。全投資額の半分はフィンテックスタートアップ向けだとされています。(Partech Africa調べ)

スタートアップへの投資が増えるということは、今後数年以上、アフリカのフィンテック市場は間違いなく成長を続ける証左とも言えるでしょう。これからも「金融包摂」というキーワードを基にアフリカ市場は急成長を続けるのは必至。途上国支援やフィンテックに興味のある人にとっては、益々アフリカ大陸は目が離せない存在になりそうです。

Image Source & Credit: Fair MoneyGoogle Play, Pixaby, Farm Drive, M-Pesa

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