スタートアップの「オウンドメディアしんどい問題」を解決する方法(前編)

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本稿はスタートアップのPRを考える「POST」からの転載記事です

しばらくぶりのポストです。4月後半からスタートアップPRの勉強会を実施して約3カ月、14団体(ほとんどVCさんでした)約400名の起業家・PR/広報担当の方々にこちらのフレームワークをお話させてもらいました。特にリクエストの多かった「どうすればいいの」的な部分については、シンプルな戦略に経験者・未経験者ともに好評いただけたかなと。

一方、さらに深い話を聞いていくと別の課題も浮かび上がってきます。特にあるあるなのが「コーポレート系のオウンドメディアしんどい」問題です。周りもなんとなくやってるから立ち上げたけどネタがない、更新する時間ない、やったはいいけど読まれない、というアレです。※コンテンツマーケティングなど目的の明確なメディアは除きます。あくまでコーポレート向けのオウンドメディアです。

これの新しい解決方法というかコツみたいな考え方に「内向きに作る」というものがあります。ちょっと長いですが、THE BRIDGEでの経験含めて詳しく共有します。

オウンドメディアあるあると運営の現実

  • 読まれない。1000PVが多いのか少ないのかわからない
  • 評価はっきりしないから予算がない。外部ライター使えない
  • 社内インタビューで面倒がられた。ネタが続かない

挙げればキリはないです。私も過去にサポートしたプロジェクトで最終的に「これ結局なんだったの?」みたいな案件に当たったことがあります。大概はメディアってなんかよさそう、とかPRやらないといけないよね、みたいな経営者(もしくは決裁権者)の思いつきで進んだものの末路に多い印象です。

そもそもなぜこういう状況が生まれたかというと、ひとえにインターネット時代に入って情報受発信のコストが劇的に下がり、一気に情報メディアというものがコモディディ化したからにほかなりません。

安くなったんだからじゃあやろうよ!という隣の芝は青い理論で広がった結果、とりあえず立ち上げた◉◉アカウントが大量に放置される、という事態になっているのはご存知の通りです。

しかし、本当に読まれる「メディア」として運営するためには極めて属人的な中心人物・チームと、それなりの予算(年間で数千万円)、そして何より毎日お目々を皿にして取材・更新を続ける根性、熱意がなければ無理です。コーポレート系のものとは性質は異なりますが、実際10年近くメディア運営をやってみた感想としてまあ、中途半端に手を出すものじゃないな、というのだけはお伝えできます。

では、どうしたらいいのか。それが「内向きに作る」考え方です。3段階で方法を整理してみます。

1:社内広聴の仕組みづくりと結果としてのアウトプット

「内向きに作る」とはどういうことでしょうか。

  • 社内広聴重視。情報収集の結果としてのアウトプット
  • 特定の対象に対し、期待行動を考えて情報を届ける
  • わかりやすいプールに読者を貯める

ソーシャルの時代になって有名な人にリツィートやフォローされるという状況が可視化されるようになりました。一方、古代から続く「PV(ページビュー)」の世界ではボットも芸能人も「1PV」です。大規模なサイトは別ですが、そもそも顔が見える段階の小さなコミュニティでこの指標を使うことの無意味さ、危険性がよくわかると思います。

創業間もなく話題に乏しいスタートアップが突然このPVみたいなリーチ指標でコーポレート系のメディアを作ろうとしても「もっと話題を!」みたいなチキンレースが急に始まって心臓に悪いです。そもそも読まれる・読まれないという判断が曖昧。

そこでまずオススメするのが「最低限の範囲から始める」ということです。つまり、一緒に働いてるみなさんに読んでもらう。これが最低限のスタートです。逆に言えば、社内のみなさんが興味ない・読んでないものを外の人たちが読みたいと思う方がやや間違ってるかもしれません。

キーワードとして広報/PRの人たちの基本的な活動、いわゆる社内広聴があります。つまり、オウンドメディアをきっかけに社内の方々とコミュニケーションし、情報収集するというフローを作るのです。実際、メルカリのオウンドメディア「メルカン」は当時増えてきた社内のみなさんとお話するきっかけツールとしての役割もあったよ、と伺ったことがあります。

ファーストステップとして、社内の情報収集のきっかけとその結果としてのアウトプットはいわゆる社員インタビューみたいな話題でもいいでしょう。会社名検索で導線が作れれば一挙両得です。呼びかけの方法も社内広聴の仕組みを作りたい、会社のサイト導線を強化したい、手伝って!みたいな感じがいいんじゃないでしょうか。ちょっと長くなったので残りは後半に

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