今年開催の「InnovFest unBound」ピッチバトルから、100チームの頂点に立ったトップ5の顔ぶれを紹介

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2019.9.6

本稿は、InnovFest unBound Singapore 2019 の取材の一部だ。

6月29日、シンガポールで開催された InnovFest unBound で、イベントの終盤に行われたユニリーバ協賛による Unilever Start-up Battle Final で、ファイナリスト5社がピッチした。アジアをはじめとする世界各国100チームからのエントリがあり、事前予選を通じてファイナリストが絞り込まれた5チームが彼らだ。

ユニリーバは昨年、マーケティングテクノロジー分野のスタートアップ支援を目的として、Unilever Foundry を設立しており、2015年の Cannes Lions では、スタートアップのトップ50を選ぶコンペティション「Unilever Foundry 50」を新設し注目を浴びた。InnovFest unBound では毎年、ピッチバトルのスポンサーを続けている。

ピッチバトルのセッションの審査員を務めたのは次の方々。

  • Annie Luu 氏(General Manager, Investible)
  • Michael Lints 氏(Partner, Golden Gate Ventures)
  • Deepak Subramanian 氏(Home Care Category, Vice-President, APAC, Unilever)
  • Karen Gilchrist 氏(Reporter, CNBC)

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【優勝】Kora(インドネシア)

Kora は、インドネシアのスタートアップで、個人のネットワークにより小売流通を支援するスタートアップだ。現在、Poskora と呼ばれる販売を担当する個人がインドネシア国内に2,800人いて、500種類以上の消費者向け製品を取り扱っている。近所に住む Poskorra が、オンラインを通じて発注された商品を代金引換で持ってきてくれるイメージだ。

Kora は、E コマースでもなければ、店舗販売でもない、その間の需要をついたサービスモデルで、インドネシアで人気を集めているようだ。2022年には、インドネシアのスマートフォンユーザは32%に達するとみられているが、それでもスマートフォンを通じたモバイルコマースのシェアは2%程度にしかならない。

インドネシアでは、インターネットやモバイルを使った E コマースは、依然としてマネタイズが定着しづらい課題があり、一方で、交通などの理由からオフラインの小売サービスが極めて便利だというわけでもない。この点をうまく突いた形だ。2023年には600万世帯にサービスを提供し、インドネシア最大の仮想的な小売チェーンを築き上げたいとしている。

【優勝】Rytle(ドイツ)

 

Rytle は、荷物の都市間およびラストマイルまでの配送を IoT 荷台を使ってスムーズかつスマートに届けようというスタートアップ。ハブ・アンド・スポーク型の物流ネットワークにおいては、都市間つまりハブ間は大型のトラックなどで運送し、そこから最終目的地まではバイクや小型の交通手段で届けることになる。

非効率なのは、このトラックなどから小型交通手段への載せ替えの手間だ。Rytle ではトラックから独自に開発した三輪自転車にスワップできる IoT 対応の荷台を開発。届け先も荷台毎にオンラインで管理されているため、簡単に載せ替えができる。荷物の積み下ろしが省略できるため、対応する人の負荷が減り10倍以上効率化されるとしている。

 

ラストマイル配送が簡略化されることで、この部分のクラウドワーキングも可能になり、ギグワーカーなどの労力できるのも特徴。荷台は IoT で管理されているため、届けられる荷物が行方不明になるなどのリスクも最小化される。

そのほか、入賞はしなかったもののファイナリストとしてピッチ登壇したスタートアップは次の通り。

Fairbanc(バングラデッシュ、但し会社登記としてはアメリカ)

Fairbanc は、新興国市場の中小企業向けに作られたマイクロファイナンス(小口金融)プラットフォームだ。新興国市場に適応するためフィーチャーフォンでも対応でき、銀行化されていない人々(unbanked)を対象とするため、担保やクレジットヒストリーも必要としない。

AI プラットフォームにより、大規模サプライヤーとの取引内容や、ケータイ電話を通じてやり取りされた入出金状況から信用状況を査定、Fairbanc が提携するサプライヤーから商品を〝つけ買い〟することが可能になる。小売業主にとっては資金不足からの仕入抑制が不要となり、サプライヤーにとっては販路開拓や在庫の回転改善に繋がる。

Perx(シンガポール)

Perx は、AI を活用した顧客エンゲージメントおよびロイヤリティプラットフォームを提供する企業だ。SaaS ロイヤリティマネジメントシステムと、オフラインおよびオンラインのエンゲージメントに対するオムニチャネルのマーケティング技術とを組み合わせた統合型ソリューションによって企業をサポートする。

顧客データや好みを収集し、最終的には顧客毎にパーソナライズされた消費者体験を提供したいという。消費者体験については、ゲーミフィケーションを取り入れることで、企業に対し新たな売上の還元を目指す。シリーズ A や B ラウンドを通じて、これまでに Golden Gate Ventures や LINE Ventures、Facebook 共同創業者の Eduardo Saverin 氏らから1,100万米ドルを調達済。(関連記事

Fabulyst(インド)

オンラインで商品を購入するユーザの6割は、E コマースサイトに備えられた検索エンジンを使って、欲しい商品にたどり着けないことだという。このような不満は、特にファッションアイテムの分野で顕著だ。インド工科大学ハイデラバード校出身の創業者らが設立した Fabulyst は、画像解析と独自アルゴリズムにより、商品に対して、人がつけるタグ付けよりもより詳細なタグ付けを行う。

検索にうまくヒットするタグ付けを1ヶ月おきに見直し、適切なタグ付けを行うことで消費者が欲しい商品にたどり着きやすくする。E コマース事業者数十社以上に導入。各社の E コマースプラットフォームとは、API 連携や XML によるデータ出力が可能だ。

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