ピックアップ:Microloan Startup Tala Raises $110 Million In New Funding
ニュースサマリー:8月21日、新興市場にて消費者・零細事業者に対する少額ローンを提供する「Tala」が、シリーズDラウンドにてRPS VenturesやPayPalを含む8つの投資家から合計1億1000万ドルを調達した。
リード投資家となったRPS Venturesは、元Softbank Vision Fundのマネージメント・パートナーKabir Misra氏によって創設された新興ファンドである。
同ファンドは未だ5件の出資しか実施していないが、先日インドのソーシャルコマース「Messho」の巨額調達にも参加している。
<参考記事>
Talaは新興市場のクレジット・スコアを持たない零細業者をターゲットにした少額ローンの提供を行う。特徴的なのはクレジット・スコアを活用できない分、アンドロイド端末の使用履歴や支払い履歴を参照し、リスク審査を実施する点である。
ローンの金額は$10〜$500(約1100円〜53,000円)で、現在は以下5カ所の新興国(ケニア・タンザニア・フィリピン・メキシコ・インド)でサービス展開をしている。
Inc42によれば、同社は今回の調達資金をインド市場でのサービス拡大・新プロダクトの開発に投じるとしている。Kabir Misra氏が取締役に就任したこともその戦略の一貫だと言える。
Kabir氏はSBVF以外にもSoftbankのインド・中国支部代表として活動した過去を持つため、急成長するインド市場に本腰を入れて参入する強力な後押しとなるだろう。
話題のポイント:Talaの特徴としてサービスの特徴はアンドロイド端末の使用履歴や支払い履歴の参照である点を挙げましたが、もう一つ性差別要素の除外があります。同社ウェブサイトの「データ倫理」ページには、とても興味深い言葉が記されています。
Talaはジェンダー・人種・民族・宗教・国籍または性的指向に基づいた差別を回避し、公正な融資に取り組むことを恐れません。
性別は信用実績と相関性があると言われています。これは賃金や雇用条件などの重要な要素と深く関わっているためです。より精度の高いリスク審査を実施するのであれば、男女か否かというデータは含まれるべきでしょう。しかしTalaはあえてそのようなデータを除外した状態でリスク審査を実施しているとのこと。
このようなポリシーはTalaのCSR(企業の社会的責任)の一貫として意識されているものだと推測できます。インドを中心とした新興国で発生する性差別をなくすサービス設計により、競合他社との差別化を図りユーザー獲得に繋げたい考えだと思われます。
世界には25億人のクレジットスコアを持たない人々がいると言われています。それらの人々は銀行口座や社会保証番号も保有していないケースがほとんど。銀行や既存金融機関は当然ですが、現在流行しているデジタル・ローン系サービスですら、それらのクレジット・データがない人々にはローンを実施してはくれません。
しかし上述したように、Talaはアンドロイド端末のデータさえあれば与信調査を実施することができます。今後は上記5カ国以外にも展開し、上述したあらゆる人が手軽に使えるサービスメリットを活かすことで、さらなるサービス拡大を進めていくと予想できます。
ちなみに、データ規定に関しては、各地域で規定されたスタンダードに遵守し安全に管理されていると公式ウェブサイトに記述されています。
同社代表Shivani Siroya氏のTED講演(2016年)
Image Credit:Tala
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