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取引金額ベースでインドネシアのトップを走るデジタル決済システムが、Ovo であることが公開データから明らかになった。
Tech in Asia が Bank Indonesia(インドネシア中央銀行)から手に入れた数字によると、2019年上半期のデジタル決済取引額のうち37%を Ovo が占めている。Ovo の主要な競合である Go-jek の GoPay のシェアは17%であった。

中央銀行のデータによると、2019年上半期のデジタル決済取引額合計は56兆1,000億ルピア(約4,290億円)に達する。つまり、大手企業の Grab と Tokopedia とも提携している Ovo の取引額は約20兆8,000億ルピア(約1,520億円)になるということだ。これに対して GoPay の取引額は9兆5,000億ルピア(727億円)だ。
Tech in Asia は Ovo にコメントを求めたが拒否され、Bank Indonesia からは回答を得られていない。
GoPay の広報部長 Winny Triswandhani 氏は次のように述べている。
どのような手法が使われたのかはっきりしませんが、中央銀行のデータは市場で手に入る大半の研究結果と一致していません。こうした研究結果では、インドネシア最大のデジタル決済プロバイダーは GoPay になっています。
同業のデジタルウォレット企業である Dana のシェアは10%、LinkAja のシェアは3%になっている。その他のデジタルウォレットの大半は、Mandiri や BCA などの銀行が所有する電子マネーシステムとして運営されている。
今回中央銀行が作成したデータは当初、Bank Indonesia が主催する決済業界企業向けイベントでのみ発表されていた。データの作成手法は明らかにされていないものの、監視目的でデータ元は銀行(LKPBU)とノンバンク系金融機関(LSBU)によって定期的に提出されていた。
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規制当局から初めて公開されたデータ
Ovo と Go-Pay はいずれも以前から自分たちがインドネシアのマーケットリーダーだと謳っている。Tech in Asia とのインタビューで Ovo の CEO である Jason Thompson 氏は、同社のサービスがインドネシア国内1億1,500万台のモバイルデバイスで使われていると語っている。データ調査企業 Statista の推定によると、これはインドネシアのモバイルデバイス全体の60%以上に及ぶ。
Thompson 氏によると、Ovo の急速な成長の要因の一部は同社のオープンなエコシステムにあるという。こうしたエコシステムによってGrab や Tokopedia などの同業他社との提携が可能になるとともに、独自のアプリも運営することができる。Thompson 氏は Grab と Tokopedia との提携が Ovo にとっての転換点になったと語っている。
オフライン小売業者が Ovo や Grab、Tokopedia の e ウォレットを採用していることも Ovo の成長を後押ししている。インドネシアのコングロマリット企業 Lippo Group との提携もあり、Ovoはインドネシア全体で50万の業者と提携しているとされている。一方、Go-Pay の提携業者の数は30万だ。
インドネシアの調査機関 Snapcart の最近の研究によると、インドネシアでトップを走る e ウォレットは Ovo となっている。しかし、Triswandhani 氏が言うように、他の研究では Go-Pay がトップとされている。
Financial Times の2018年12月の調査によると、モバイル決済ユーザの75%が Go-Pay を選んでいるのに対して、Ovoを選んでいるのは42%と推定されている(両方を使っているユーザもいる)。2019年1月の YouGov のレポートによると、回答者のうち80%が Go-Pay を使っており、Ovo を使っているユーザは60%となっている。
しかし、第三者の調査企業ではなく規制機関から市場シェアに関するデータが出てきたのは今回が初めてのことだろう。
【via Tech in Asia】 @techinasia
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