ホテルの料金設定支援サービス「MagicPrice」提供の空、GCPから資金調達——合計約4.7億円調達でシリーズAをクローズ、経営体制も強化

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2019.9.4

空のコアメンバーと、渡邉佑規氏(前列左から2人目)、堅田航平氏(前列左から3人目)
Image credit: Sora

ホテルの料金設定支援サービス「MagicPrice」を提供する空(そら)は4日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)から資金調達を実施したことを発表した。シリーズ A ラウンドの2回目のエクステンションラウンドとみられる。空は、今年5月に発表した UB Ventures からの調達と今回の GCP からの調達を合わせ合計調達金額が3億円に上ることを明らかにしており、昨年7月からのシリーズ A ラウンド調達総額は約4.7億円。2016年7月のシードラウンド(約2,000万円を調達)、2017年10月のシードラウンドのフォローオン(8,000万円を調達、資本性ローンを一部含む)を合わせると、創業期からの外部調達累計は約6億円となる。

今回の調達と合わせ、GCP ディレクターの渡邉佑規氏が空の社外取締役に、また、スマートニュースの財務担当ヴァイス・プレジデントを務めた堅田航平氏が空の監査役に就任したことも明らかになった。今年5月、空は堅田氏が同社の財務・コーポレートアドバイザーに就任したことを発表しており、従前から空の資金調達や資本政策を支援してきたとみられる。堅田氏は以前、ライフネット生命保険の執行役員 CFO を務めており、空のアドバイザー就任と時期を同じくして、ビザスクの社外取締役に就任したことも発表されていた。

左から:グロービス・キャピタル・パートナーズ ディレクターの渡邉佑規氏、空 CEO 松村大貴氏
Image credit: Sora

2016年7月にβ版として開始された MagicPrice は、予約履歴などの自社データをインポート、周辺ホテルなどの競合データをクローリングし、機械学習で最適な価格をリアリタイム計算する。計算された価格は、自社サイトのほかサイトコントローラを経由して、旅行予約サイトや OTA にも自動反映できるしくみだ。

同社は MagicPrice を導入するホテル軒数が、昨年12月現在で累計2,000軒超であることを明らかにしており、現時点でその数(有償ユーザのホテル数)は概ね5倍(つまり1万件程度と推測できる)に達しているとしている。現在の同社の社員数は概ね30名程度で、今後、導入ホテル数の増加にあわせ、カスタマーサクセス担当者、および、AI エンジニアの採用強化を図るものとみられる。C 向けやスモールビジネス向けの SaaS がオンラインマーケティングに注力するのと対照的に、ユーザ増に合わせカスタマーサクセス強化を図るモデルは、先月ストックマークを取り上げた時に書いた、エンタープライズ向けの業務拡大アプローチに近いかもしれない。

「MagicPrice」
Image credit: Sora

先週、空とネットプロテクションズは共同で「Price Tech」のカオスマップを発表しているが、ここで記されたワンストップのカテゴリでも明らかなように、空自身も複数の競合があることを認識している。ここでどう勝っていくかだが、THE BRIDGE の取材に対し、空の創業者で CEO の松村大貴氏はテクノロジーよりも、ユーザ(であるホテルの現場)に使いこなしてもらえることが重要だと語ってくれた。

テクノロジーを使って、(ダイナミックプライシングを)完全自動化するには、まだ少し早いかなと思っている。完全自動化もやってみたが、それよりも人が値付けする業務を補助する形にした方が結果が出やすいというのを感じている。

需要と供給のバランスに合わせた価格決定は完全自動化することはできる。しかし、ホテルにとっては、需要が高まった方がいい。(中略)

そういう点では、MagicPrice はマーケティング系の SaaS に近いと思っている。現場で使いこなしてもらって、価値を実感してもらうことが必要。結果が出なければリプレイスされてしまう。顧客とのエンゲージメントを高めることも必要で、カスタマーサクセスも重要になってくる。

ホテルの収益構造を高める上で、料金を最適化するのは、その一機能に過ぎないという考え方だ。今後、空では収益構造の改善に寄与する機能を提供する企業各社とも連携し、ホテルに提案を行っていく。空としては、あくまで価格決定の補助、料金最適化のテクノロジーに特化するという点で軸はぶらさない。各社と共同で勉強会などを開催し、宿泊業界全体のリテラシー向上にも取り組んでいきたいとしている。

一方、松村氏は以前から、空が宿泊業界以外の価格決定や料金最適化にも取り組んでいくことを明らかにしている。具体的な業界を定めているわけではなく、組む相手(ユーザ)に応じて、柔軟に対応していくそうだ。「そう遠くないうちに発表したい」としながらも、具体的などのような業界の企業と、どの時期に実現できるかについては明言を避けた。

ニュースレターの購読について

毎日掲載される記事の更新情報やイベントに関する情報をお届けします!

----------[AD]----------