シンガポールのディープテックスタートアップSEPPURE、SOSVらから255万米ドルをシード調達——熱を使わない化合物分離技術を開発

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Seppure 共同創業者の Mohammad Farahani 氏と Amir Taheri 氏
Photo credit: Seppure

シンガポールに拠点を置く分離技術専門スタートアップ SEPPURE が、255万米ドル(354万シンガポールドル)のシードラウンドをクローズしたことを発表した。アメリカ拠点のハードウェア向け投資会社 SOSV が同ラウンドをリードし、Entrepreneur First(EF)、500 Startups、SGInnovate、Koh Boon Hwee 氏(南洋理工大学=NTU 理事会、Credence Partners、Yeo Hiap Seng、および Far East Orchard 会長)、Rekanext、Belmond Capital、その他複数の著名投資家らが参加した。

同社は、この資金を化学薬品耐性ナノフィルターの生産を増やすために使用すると述べた。また、さまざまな産業の見込み顧客とともに産業規模のパイロット(試験)を実行する予定だという。

SEPPURE は最小限のエネルギーしか使わずに化学混合物を分子レベルで分離する、持続可能な「ナノフィルトレーション(ろ過)ソリューション」を手掛けている。蒸発や蒸留など現在の分離技術のほとんどは、熱を利用して化学的分離を行っている。

これらの熱プロセスは、全世界の最大15%ものエネルギーを利用する。SEPPURE が手掛ける技術は熱の必要性を排除し、地球上で最高レベルのエネルギー消費であり、公害をもたらすプロセスへの依存を抑制するというものである。

同社は、シンガポール国立大学(NUS)で行われた4年前の Mohammad Farahani 博士による博士課程プログラムから着想を得て、2018年に設立された。シンガポール国立研究財団(NRF)からの助成金で、Farahani 博士と Neal Tai-Shung Chung 教授(現在は SEPPURE の臨時テクニカルアドバイザーであり、NUS のプロボストのチェアプロフェッサー)の2人は、持続的に化学物質を分離できる中核技術を開発した。

Photo credit: Seppure

この技術は食品、製薬、石油化学、石油ガスなどさまざまな市場で活用することが可能である。

シードラウンドをリードした SOSV のゼネラルパートナーであり、深圳のアクセラレータプログラム「HAX」のマネージングディレクター Duncan Turner 氏は次のように述べている。

SOSV が東南アジアにおいてソフトウェアベースの投資、アーリーステージの産業・医療分野向けディープテクノロジーへの投資に焦点を当てている中、SEPPURE は見過ごされがちな分野で革新的なポートフォリオとなりました。ハードウェア対応の材料科学を通じて、同社は省エネに多大な影響をもたらすことを断言します。

Entrepreneur First の共同設立者兼 CPO である Alice Bentinck 氏も、この出資についてコメントを残した。

Farahani 氏と Amir 氏は才能溢れる人物であるだけでなく、この分野において技術的かつ学問的な経験を併せ持っているため、SEPPURE のようなナノフィルトレーション会社を設立する資格のあるチームは、世界において他にないと考えています。

SEPPURE は以前、清華大学で X-LAB が開催した President’s Innovation Challenge Award 2019(校長杯創新挑戦賽で受賞した経験を持つ。

【via e27】 @E27co

【原文】

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