Amazonが変革する医療サービス

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credits : Amazon HP

ピックアップ:Amazon acquires start-up Health Navigator, its first health-related purchase since PillPack

ニュースサマリ:10月24日、Amazonがオンライン医療診断サービスと患者の重篤度選別ツールを開発する「Health Navigator」を買収したことを発表した。買収額は非公開である。

Health Navigatorは2014年に設立され、臨床医や看護師が患者を症状に合わせて適切な施設に案内できるサービスとして立ち上がった。Health Navigatorはオンライン医療企業向けサービスであり、顧客企業のプラットフォームに統合することを前提に開発されている。

買収後はAmazonが9月に立ち上げた「Amazon Care」に参加し、従業員向けにサービスが継続提供される。これまでの外部顧客に対しては段階的に提供を停止する。

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credits : Health Navigator HP

話題のポイント:今回の買収はAmazonが目指す“ヘルスケア・ポートフォリオ”の実現に向けた確かな一歩となります。昨年、Amazonは「Berkshire Hathawa」と「JPMorgan Chase」と提携して非営利団体「Haven」を立ち上げました。また、オンライン薬局「PillPack」を7億5,300万ドルで買収しています。今回の「Health Navigator」の買収も、Amazonが目指す一大ヘルスケア・ポートフォリオ確立を達成する上で重要なマイルストーンになったことは間違いないでしょう。

こうした買収企業サービスとAmazonが持つ物流インフラと組み合わさった際、医療サービスの利便性が向上される点は容易く想像できます。病院へは必要最低限行けばよく、軽度な症状の治療に必要な物は自宅に届くようになるでしょう。風邪薬と安心感を貰うためにスケジュールを割いて病院へ通う時間を消耗する必要がなくなるはずです。

ここまで聞くとサービスの恩恵を受けるのは消費者だけだと感じるかもしれませんが、むしろ一番喜んでいるのは雇用主である企業です。

米国の医療費が世界で最も高いことは知られています。日本と違い米国では公的医療制度は高齢者および障害者を対象としたものしか用意されていないため、企業が保険料を負担して従業員を民間保険に加入させるのが一般的です。企業にとって年々高騰する医療費に合わせて高くなる保険料が大きな負担になっているのです。

そのためAmazonの業界参入を称賛し、最適化したリソースで予防医療に挑む試みに期待が寄せられています。

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credits : Amazon Care HP

しかしAmazonはとても慎重なプロセスを選んでいます。今年9月に自社従業員向けサービス「Amazon Care」を発表。Amazonの従業員であればオンライン医療サービスを通じていつでも受けられます。つまり、市場需要は把握しつつも、自社内で完結するサービスに留まる決定しかしていません。

大きな理由として、ヘルスケア業界はステークホルダーが複雑であることが挙げられます。一貫したシステムを構築するには提携が困難になることが予想でき、時間とお金を無駄に消費する可能性が高いため大きな失敗の原因になると判断したのでしょう。

実際、2008年にGoogleは「Google Health」という処方箋や投薬履歴、通院記録の管理ができるサービスを立ち上げましたが、病院や保険企業などと提携に苦戦した結果、2011年に閉鎖しています。

現在60万人を超える従業員数を抱えるAmazonでは、従業員向けだとしてもサービス展開規模としては十分なもの。ここで培われるノウハウとサービス完成度を武器に、ヘルスケア業界に乗り込む戦略をじっくり取れる点は一つの強みといえるでしょう。

現状、米国にある医療に関する社会問題を解決できる環境が整いつつあるのはAmazonだけのように思えます。Amazonが生み出す結果がこれからの社会の流れを大きく変えることになるかもしれません。果たして救世主になれるのか、今後の動向に注目が集まります。

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