オンデマンドプライベートジェット「Aero」が1,600万ドル調達ーーBlackJetの失敗を教訓に、空路のシェアエコ再挑戦

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photography of airplane during sunrise
Photo by Anugrah Lohiya on Pexels.com

ピックアップBacked by Expa, Aero is a premium air travel startup with $16M in funding

ニュースサマリー:トラベルスタートアップの「Aero」は10月1日、シリーズAにて1,600万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはExpa並びにGGV Capitalが参加している。Aeroは一般消費者向けにプライベートジェットの予約サービスを提供。同じ目的地へ赴く数人の客をマッチングさせることで、低価格化を実現させたシェアリングモデルを採用する。

同社は飛行機を管理せず、契約を結ぶプライベートジェット運用企業とパートナシップを組む。利用者は大手エアライン利用者に使われる空港ではなく、プライベート空港から飛行機に搭乗することができるため、混雑によるストレスなども少ない。

ピックアップ記事によれば、同社サービスは今後ミレニアル及びジェネレーションZ世代をターゲットにサービス拡大を目指していきたい意向だという。

話題のポイント:今回、Aeroへ投資を決めたExpaは、Uberの共同創業者Garrett Campが運営するスタートアップインキュベーションです。Garrett氏は2012年、プライベートジェット版Uberの「BlackJet」を創業し、結果として撤退を余儀無くされている手痛い経験をしています。

BlackJetは、年間サブスクリプションモデルでプライベートジェットをオンデマンドに利用できるというものでした。しかし、最終的に会費のみで運用費を賄うことができず、2016年に事業をクローズしています。

今回取り上げるAeroはBlackJetの失敗を見ているからこそ、違った特色を見せています。まず収益モデルではサブスクリプション型でなく、オンデマンドの都度払い型を採用しています。そのため、「飛行機のサブスク」という物珍しさはありませんが、収益モデルを考えれば最適解という結論なのでしょう。

また、BlackJetを代表とした従来のプライベートジェット関連サービスは富裕層をターゲットにしたものでした。一方、Aeroはターゲット顧客に「若者世代」を挙げており、全く違う層を狙っている点も特色として挙げることができるでしょう。

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Image Credit :Aero

写真はAeroを利用すると搭乗できるプライベートジェットの一例です。よくドラマなどで大統領が乗っているジェットとは違い、少人数ですが通常の飛行機に近い配列となっています。一見すると、一般的な飛行機のファーストクラスと類似していますが同社によればファーストクラスよりも価格を安く抑えられているそうです。

現段階でAeroの空路はカリフォルニア州オークランド、コロラド州テルロイド、メキシコのラパスに限られています。これらの空路を考えるに、ビジネス利用を想定したものでなくレジャー目的を前提に作られたサービスであることが想像できます。

近年日本でも、若者世代がリムジンを貸切ってパーティーをする文化が根付いてきましたが、こうした文化がそのまま空の世界にも訪れる時代がやってきそうな気がします。

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