「Dr.経費精算」、キャッシュレス還元を含むレシートの入力代行に対応——軽減税率導入で、レシート読取や家計簿アプリの明暗に拍車か?

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Image credit: はむぱん / photoAC

レシートを活用した家計簿サービス「Dr. Wallet」や経費精算サービス「Dr. 経費精算」を提供する BearTail(ベアテイル)は、軽減税率制度やキャッシュレス還元制度に対応したことを明らかにした。レシートに書かれた情報から税率8%、税率10%、税率0%(免税商品)を正しく分類し入力代行するとしている。

税率については商品毎に異なるため商品毎の計算、また、キャッシュレス還元については合計額に適用されるため、合計額に占める商品毎単価で按分して金額が商品毎に減額反映される。BearTail は近日、税率単位で購入した商品を一覧表示できるレビュー機能もリリースする予定だ。

軽減税率やキャッシュレス還元は来年6月末までの時限制度ながら、その複雑さから多品種を異なる販売形態で扱う小売事業者や、そのシステムを開発する企業にとっては苦難を強いられている。一部コンビニが軽減税率対象ではない商品を軽減税率の8%で販売してしまったり、寿司チェーン店で消費税が適用されずに販売されたりする事故が相次いでいる。

IVS 2019 Summer in 神戸のピッチコンペティション「LaunchPad」で、「Dr. 経費精算ペーパーレス」を発表する BearTail 代表の黒崎賢一氏
Image credit: Masaru Ikeda

一方、小売店舗で発生したレシートから会計処理を行う手順においても一定の困難が生じる。レシートのフォーマットは店舗により異なるため、OCR によるレシート読取を採用しているサービスでは、商品毎に軽減税率の適用対象か否かを自動的に見極めるのは難しい。軽減税率は時限制度であるため、レシート上の情報だけで、ある食料品がテイクアウトかイートインかを見極められる人工知能を開発するようなモチベーションは生まれにくいかもしれない。

税理士や会計・経理業務を支援するシステム事業者などが作る一般社団法人フィンテックガーデンは、OCR がレシートから個別項目を読み取らなくても、正しく軽減税率適用か否かを示したデータを取り込める手段として「レシート QR」を発表している。どの程度の POS やレジシステムがレシート QR を採用したかについては、今のところ統計データは公開されていない。

BearTail など人がレシートを読み取るタイプのサービスであれば、レシートから軽減税率適用か否かを商品毎に判断することは柔軟に運用できる可能性は高い。もちろん、テイクアウトかイートインかの見極めが難しいケースも存在するだろうが、それらはユーザの軽微な操作で補正できるだろう。OCR によるレシート読取を採用しているサービスでは、どのように対応しているだろうか。情報が集約できたら改めてお伝えしたい。

<参考文献>

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