エキサイト、XTechによるTOB成立から1年で4期連続赤字から脱却——半期過去最高益を達成、既存事業成長と新規事業創出を加速へ

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2019.10.7

後列左から:鈴木裕斗氏(社外取締役)、藤田毅氏 (執行役員)、早川与規氏(社外取締役)、齋藤匠氏(執行役員)
前列左から:秋吉正樹氏(取締役)、西條晋一氏(代表取締役)、石井雅也氏(取締役)
Image credit: Excite Japan

昨年9月、スタートアップスタジオ運営の XTech(クロステック)が、ポータルサイト大手のエキサイトを TOB(株式公開買い付けによる買収)し、XTech 代表取締役 CEO の西條晋一氏がエキサイトの代表取締役社長に、また、ユナイテッド代表取締役会長の早川与規氏、overflow 代表取締役 CEO の鈴木裕斗氏が社外取締役に就任したのは既報の通りだ。今年に入って新たに、石井雅也氏、秋吉正樹氏が取締役に、齋藤匠氏が執行役員に就任した。

エキサイト誕生当初から検索エンジンの開発に関わり、現在は執行役員・テクノロジー戦略室室長を務める藤田毅氏を除けば、経営陣の顔ぶれは、ほぼ全員がサイバーエージェントや旧シーエー・モバイル出身者で揃ったことになる。以前は伊藤忠の子会社として経営されていたエキサイトをニューエコノミーに親和性の高い経営陣に刷新していく中で、結果的にサイバーエージェント・マフィア的な陣容で固められることとなったようだ。

一般的に赤字に陥った企業が業績の V 字回復を狙う場合、ターンアラウンドマネージャーが最初に手をつける場所は、人員削減や給与削減だろう。ただ、先の記事で西條氏が社員に向けて発したメッセージに書いていたように、同社は人員削減や給与削減は実施しなかった。

長年のガバナンス重視の歴史から、エキサイトは組織のヒエラルキー構造が多層化していて、アドミン部門などに社員が多く配置されていた。新経営陣は組織をよりフラットに変え、社員をプロフィットセンターに異動させるなどリソースの配置最適化を実施したとのことだが、それだけでは1年で結果を出すのは難しい。不採算子会社の整理、アウトソースしている業務の費用見直しなどを組み合わせた結果、2020年3月期の上期決算(2020年9月末締)で、営業利益・経常利益ともに4億円超を達成したという。1997年8月の創業以来、この数字は過去最高益となるものだ。

新規事業の開拓

エキサイトの若手社員の皆さん
Image credit: Excite Japan

THE BRIDGE の読者の中には、「あした会議」の存在を知る人は少なくないだろう。サイバーエージェントが、藤田晋社長のもと社員総出で新事業創出に臨む会議のことだ。この仕組みは、旧・藤田ファンドのローンチ時にも、事業支援するスタートアップをソーシングする手段として活用されていた。経営陣の多くをサイバーエージェント出身者が占めるようになったエキサイトには、このあした会議のコンセプトも持ち込まれたようだ。

U30 に限定したチームを4つ作り新規事業を考えるイベントや、ネットワークを広く持つ役員が主体となって事業を考えるイベントなどが社内で定期的に開催されている。新たな D2C サービスのローンチも始まり、スタートアップスタジオである XTech とエキサイトの間でも人材交流があるという。

エキサイトは、ブロードバンド事業、メディア事業、コンテンツ事業などで年間60億円程度の売上を誇る。赤字が続いていたことから、単体では黒字で有望な事業にもコンサバティブなアプローチが続き、積極的な投資ができず機会損失しているサービスが多かったという。現段階では半期であるものの、過去最高益の黒字を達成したことで、同社では今後、既存事業のグロースや新規事業への投資を積極化させる。今回は単半期の黒字であるが、今後これを累積赤字の解消につなげ、来年以降、新生エキサイトによる再 IPO を狙うとみられる。

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