テスト不足でサービス公開を失敗しないためにーー経営者が知るべきソフトウェアテスト自動化、三つの視点

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Photo by rawpixel.com on Pexels.com

今、世の中の大きな関心事に働き方改革や雇用・就活など、労働市場に関する話題があります。特に人材の不足については問題になっており、例えばパーソル総合研究所が今年3月に出したレポートによれば、10年後、2030年の日本には650万人近くの人手が足りなくなるそうです。

対策としてはこのレポートにもある通り、女性やシニア、海外の方など、これまで潜在的だった労働力を顕在化させる、というのが最もわかりやすい例ですが、もう一つ、そのオルタナティブとして「業務効率化」も重要な施策として挙げられています。つまり、1人あたりの生産性をあげることで、労働力需要を下げる、という方法です。

私たちが提供しているAutifyもそのひとつです。来るべく「大労働力不足時代」に備え、ソフトウェアテストの自動化に取り組んでいます。

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労働市場の未来推計 2030・出典:パーソル総合研究所

一方、ソフトウェアテストは事業者にとってその重要性や、推進の方法などに温度差があるのも事実です。実際、ここ最近もキャッシュレス推進の波から大きなインフラの開発が話題になっていましたが、十分なテストが実行できなかったのではないかな、と見受けられる事例もありました。

万が一大きな問題を抱えたままサービスを公開してしまえば経営に与える影響は甚大です。しかしそれらを検証する専門の人材を採用し、組織を自社で構築するというのはそう簡単なことではありません。多くは開発を手がけるエンジニアの方が、その延長でテストまで手がけているのではないでしょうか。

ではこういった現実的な開発の現場で、経営者としてテストを効率的かつ効果的に進めるにはどのようなポイントを押さえることが必要なのでしょうか? テストの効率化を進めるに当たって、自動化は非常に効果的な手法ですが、正しく進めないと効果があげられなかったり、形骸化することが非常に多いです。

そこで次の3つをまず検証することをお勧めします。

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ソフトウェアテストを成功に導くのは入念なシナリオづくり

テスト自動化、必要な3つのステップ

1. 自動テストと手動テストを切り分ける

まず、理解しなければならないのは「全てのソフトウェアテストが自動化できるわけではない」ということです。人がやった方が効率的なものもあります。例えば、動画サイトの映像や音声の確認といったテストは自動化の難易度が非常に高いため、人が確認した方が早いし手間がかかりません。

テストにはまず、実際に使われるケースを想定したシナリオを作成するのですが、自動化を始める前にまず現状のテストケースを見直して、どこまで自動化するのか切り分ける作業をしっかりと計画することが大切です。ここが曖昧だと手戻りが多く、結果的にミスや工数の膨張に繋がります。

2. 自動化の担当者を決める

テスト自動化は一度設定すればおしまい、というものではありません。例えば効果測定など別の検証に合わせて機能の修正をする場合、それに応じて都度修正やメンテナンスが必要な可能性がでてきます。この時に大切なのが「誰が自動化の責務を担うのか」という担当の明確化です。担当が自動化の取り組みを管理することで作業の形骸化を防ぎ、テスト自動化のプロジェクトそのものを効率化することが可能になります。

3. 開発のワークフローに組み込む

自動化を行っても気が向いたときに実行するだけだと、機能変更が起きた際に動かなくなり、そのまま放置して自動化が形骸化するケースが非常に多いです。これでは意味がないので、例えばリリースの前に自動的にテストが回るようにCIを組んでおいたり、毎朝や毎晩、定期実行を行うなどして日々の開発業務フローの中に組み込むことが大切です。

今、全てのサービスはソフトウェア化が進んでおり、多くの経営者にとってシステムの開発は他人事ではありません。開発競争は激化し、特にエンジニアの需給バランスは大きく崩れている状況です。このような市場環境において、少ないリソースで最大限の効果をあげることは経営者として求められる力なのではないでしょうか。

本稿は人工知能でソフトウェアテストを自動化するプラットフォーム「Autify」創業者の近澤良氏による寄稿。Twitterアカウントは@chikathreesix、自動化のコストメリットなど興味ある方はデモリクエストされたい

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